今屋上でヒルダとベル坊と昼飯食ってる。
古市が来ねぇから探しに行こうとしたらヒルダの奴が『これ以上坊っちゃまを待たせるな、ドブ男』っつーから仕方なく屋上に上がった。
古市とやっと会えたっつーのに色々ゴタゴタがあったせいであんままともに話せてねぇ。
それが余計俺をイライラさせる。古市は古市で何かビミョーに俺のこと避けてるしで気分は最悪。
今日の朝だってメールで一緒に行くぞって誘ってやったのに断りやがった。
古市の奴何考えてやがんだ?
まさか嫌いになったわけじゃねぇだろ?
「この俺様が好きなのにあのアホが俺を好きじゃないわけねーよ」
うんうんそうだそうだ、と一人で頷いているとヒルダに冷めた目で睨まれた。
だが俺は気にしない。
ベル坊のミルクを作りながら古市のことを考えては顔が緩む。
そんな男鹿気持ち悪くて仕方がないが、古市のことになると男鹿は何も耳に入らない。
だから目で睨み付けてやったのに効いていないようだ。
「さっさとくっ付けばいいものを………鬱陶しい」
「ダァブ」
「坊っちゃま、そんなドブ男に近付いてしまわれたら馬鹿が移りますよー」
優しい声色でベル坊にヒルダが話かけていると男鹿から声が上がった。
「あ?なんだアレ」
なんとなく中庭を屋上のフェンスから覗いたら古市が一人でパンを食べていた。
のは良いんだが………いや全然良くねぇけど。
何故か古市に親しげに話しかけ、古市の隣に座る東条に顔をしかめる。
おい距離近ぇだろ。
古市、お前もなんで拒否んねーんだよ。
「なんで…………赤くなってんだよ」
「ほぅ。あの二人また一緒にいるのか」
「ヒルダ…………」
今だけではない、男鹿がいない間にもあの二人が一緒にいたという事実に怒りが込み上げる。
古市に裏切られた、そう感じて静かに拳を握りしめた。
東条が古市に触れる度、男鹿の顔が歪んでいく様をヒルダは笑みを浮かべて見る。
面白い、と。
「早くどうにかしなければ古市は東条に落ちるぞ?」
「うるせぇ、これは俺と古市の問題だ」
「…………そうか、なら私は何もしないでおこう」
「っ!?」
東条が古市を抱き締めた。
なんだよ…………これ。
心臓が、痛ぇ……………
古市
古市
「ふる、いち」
俺はお前が好きだ。
お前も俺が好きだろ………?
なら、東条にそんなことさせるな…………俺の側に、いろよ。
「古市も満更ではないようだな」
「…………っ」
見ると、東条に抱き締められたまま古市は東条の肩に頭を擦り寄せていた。
甘えているような仕草に男鹿の怒りが沸点を越え、屋上から飛び出して階段を飛び降りていく。
頭に浮かんでくるのはどうして、という疑問。 なんで………俺がいない間に東条と一体何があった?
俺だって何度あの華奢な体を抱き締めたいと思ったか分からない。
だけど『コイビト』ではないからしなかった。
それなのに東条はいとも簡単に躊躇なく古市の体を腕に閉じ込めたのだ。
………許せない。
「古市っ!!」
中庭に着いたころには古市はいなかった。
いたのはベンチに座る東条。
「てめぇ…………どういうつもりだ」
「あ?そりゃこっちのセリフだぜ男鹿」
「古市は俺のだ」
「そうか、よっ!!!!」
「っ……ぐ、あっ!!!」
東条に勢いよく殴られ、壁に叩きつけられる。
何しやがると睨み付けたが東条はそのまま男鹿に近付いて胸ぐらを掴み上げ、自分の目の前に立たせた。
鋭い虎のような目に睨み返され、東条の怒りを感じた。
………怒りたいのはこっちだ。 なんで俺が殴られなきゃいけねんだ。
「男鹿」
「……………つっ」
「俺は古市が好きだ」
「あぁ!?」
神妙な顔をして告白する東条に男鹿は眉を潜め、宣戦布告かと拳を握る。
だが東条は男鹿の胸ぐらから手を離し、男鹿の目を真っ直ぐ見た。
男鹿は東条の妙な迫力に唾を飲み込む。
「てめぇは古市が好きか」
答えは一つしかない。
「好きだ」
男鹿の本気の答えに東条は言葉を続ける。
「なら、離すな。どこにも行かねぇように」
側にいて守ってやれ。
「んなこと言われなくてもな、誰にもやらねぇよ」
「……………早く古市のとこ行ってやれ」
「あぁ、分かってる」
男鹿、今度古市にあんな顔させたらただじゃおかねぇぞ。
二人が上手くいくことを願って空を見上げた。
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男鹿視点。
東条vs男鹿 みたいなことになったwww
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