駄目だ……………
昨日のことがずっとぐるぐるしててヒルダさんにはキモいって言われるし、男鹿には…………
男鹿には心配されるし………… なんでちょっと嬉しいとか思ってんだよ俺は。
原因はアイツだぞ。
「何かマジ腹立つ。つーか……」
本当は本人に確かめりゃいいだけなんだが。
邦枝先輩と何かあった?って。
たったそれだけ。 それだけのことが出来ない俺は腕っぷしだけでなく心も弱い。
でも、もし聞いたとして最悪の場合が起きたとき俺は平常でいられるだろうか。
……………そのときになってみないと分からない。
けど多分俺は、そっか、と言って男鹿の腕を離してしまう気がする。
もう子供じゃないんだ。 好きな奴の幸福を祝わなくてどうする。
なんて、物分かりの良い奴ぶって自分の気持ちに蓋をしても、結局胸の中にある蟠りは取れない。
だからアイツの前では正直に生きたいよ。
もしかしたら殴ってしまうかもしれないけど。
「一発かましたら少しは楽になっか」
「何が楽になんだ?」
顔を上げると東条がいた。
「こんな中庭でメシ食ってんの珍しいな。男鹿は?」
「あ、はい。アイツは多分屋上で食べてると思います」
「ふーん…………俺も居て良いか?」
「いいっスよ。東条さんは昼飯食べないんですか」
「もう食った」
そうっすか、と食べかけのパンにかじりつくと隣に座る東条に喉で笑われた。
馬鹿にされてる?
怪訝な顔をしていたのか、東条に眉間に皺寄ってんぞと言われた。
あんたのせいだよ。
むー、と拗ねてまたパンにかじりついていると今度は頭の上に横から東条の頭を乗せられる。
「?」
「お前本当可愛いな」
「…………か、可愛くない……」
「可愛い」
何でこの人は思ったことを直ぐに口に出してしまうのだろうか。 俺はひねくれているからそんなこと無理だ。
男鹿だって普段から言葉少なでも俺がアイツの考えを分かってやれるから喋らない。
俺が男鹿の俺に対する気持ちを知っているから男鹿も告白しない。
そんな直球に慣れていない俺は、裏のない言葉に内側から震えるように俺は歓喜してしまう。
「どうした、古市」
「あー…………なんでもありません」
「顔赤ぇぞ?熱でもあんのかって………アチッ」
「っ」
額を触られ体温が急上昇していく。
まただ。
また東条に触られた部分から熱を帯びて、熱が心臓まで侵食していくなんとも言い表せない気持ちは一つしかないのに。
俺の全身が言っては駄目だと告げる。
俺には男鹿がいる。
男鹿には………邦枝先輩がいるかもしれないけど。
「邦枝、先輩………が……」
「?邦枝がどうかしたか」
「えっ、あ、違います」
「ん?」
「え、えとっ、もう教室帰りませんかっ?」
「……………古市」
「…………っ」
東条の目が細められたかと思うと、抱きしめられた。
「ちょっ」
「また悩んでんのか」
「離しっ」
「嫌だ」
本当にやめてくれ。 こんなに密着したら心臓が悲鳴を上げてしまうから。
俺は我慢強くないんだ。 だからその広い背中に腕を回してまた縋る前に早く離して欲しい。
東条の腕の中で何も言葉を発しない古市を優しく撫でる。
まるであやすように。
「誰かに言って楽になることもあんだろ。だから俺をもっと頼れ」
「…………だけどそれじゃ、都合良すぎる」
ここで東条を頼ってしまっては一体なんのために離れたのか分からない。
もう東条と一緒に居ては駄目なんだ。 自分で解決しなければ。
「古市………?」
「東条さんは、優しい」
「優しかねぇよ、俺よりお前のがずっと優しい奴だ」
「………俺は酷い奴ですよ」
自傷してしまうくらいに分かっている。 俺は今、東条さんを少なからず傷付けているはずだ。
なのに俺は東条さんの腕の中を心地良いと思う。
最悪すぎる。
結局俺は男鹿と同じことをしているから男鹿を責めれない。
「お前、また泣きそうな顔してんぞ」
「………最近、頭の整理出来てなくて何も冷静に考えれないから、無性に泣きたくなるんです」
「泣きゃあスッキリすんじゃねーの」
「泣くとかそんな格好悪いこと出来ません」
「格好悪い、か」
コクンと頷いて東条の肩口に頭を預ける。
首筋に当たる古市の髪の毛がサラサラと流れていてくすぐったい。
古市は東条の肩に頭をすりすりと擦り付けてからゆっくりと離れた。
腕から離れた温もりを追いたかったが、古市が離れていくのを止める権利はない。
「教室、戻ります」
「じゃあな」
歩いていく古市を見つめながら男鹿に対して静かに怒りを感じた。
「好きなら不安にさせてんじゃねぇよ、男鹿」
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ほらシリアスだ!・・・・東古の要素強いですねw
男鹿古のターンはもう少し先です・・・・・・;
もう古市が分からなくなってきた・・・・・・
というかもうシリアスが何か分からなくなってきたぞ
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