なぁ古市。
恋するって、好きってどういうことだ?
ふとした疑問をぶつけた。
「そーだな…………なんつーか、こう…ドキドキしたら好きなんじゃね?」
古市はそれに対してただ思ったことを伝え、男鹿もようやく思春期かとまるで親のようにほっとした。
男鹿が何を思ってそんな質問をしたのかは分からないが、きっと深く追及すればもうこんな話題は振られない。
さりげなく興味なさげにしていればまた自分からこんな話をしてくれるだろう。
「じゃーよ、ドキドキってなに」
「んー……胸っつか、心臓が痛くなったり?鼓動が速くなったらドキドキなんじゃん?」
ふーん………と興味なさげな男鹿の表情の変化は僅かにも見られない。
気になる子を思い浮かべているわけではないようだ。
でもやっぱりこういうことを聞いてくるってことは、やはりそれを確認したい相手が居るってことで。
それが誰なのかなんて知らないけど。
「男鹿は………そーいうのあるわけ」
「ドキドキ?」
「それそれ。なったことある?」
「……分かんね」
「そっか………ま、そーだよな。男鹿は無自覚なトコあっから、ドキドキしてても気付いてなさそーだし」
馬鹿にしているわけではないが、男鹿はドキドキしてもそれを余計な感情だとして、見ない振りをしている可能性だってないわけじゃない。
コイツは恋愛感情は面倒なモノとしか認識していないから。
そんな男鹿がこんなことを聞いてきた理由は知らない。
けど、遅い思春期がやってきたんだなぁ……と思うと少し嬉しいような、寂しいような………そんな感じ。
「な、古市。それってよ、触ったりとか喋ったりしただけで体が熱くなんのも入んのか?」
「入るな。妙に意識しちゃって目が合わせられないのとかも」
「…………そーか」
古市の言葉を聞き流し、男鹿は自然と、隣に座る古市の無防備に投げ出された手に自分の手を重ねた。
古市はそれを咎めることもなければ気にしてもいない。
「…………」
「……………」
触れた内側が熱いな、と言葉にしてはいけないような気がして何も言わなかったが、古市が代わりに言った。
「男鹿ってほんと子供体温だよな。手、すげぇ熱ぃし」
「普通だろ」
「いやいや、熱ぃから。夏は勘弁だけど…………まぁ、冬は好きだぜ?お前の体温」
そう笑った古市に、よく分からない痺れが体を麻痺させる。
時たま動けなくなる体を異常なのではないかと疑っていた頃が懐かしい。
手が触れただけでこんなに体が熱くなるのは古市だけ。
古市以外にこんな熱情は抱いたことがない。
だから、答えはもう出た。
好きになるってきっとこういうこと。
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長いこと拍手文でした
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