「男に告られたことある?」
部屋で漫画を読んでいたら、いきなりそんなことを言われた。
「ねーよ。つーかありわけねーだろ」
古市よ、とうとう本当にイカれたか。
「だよなぁ……、普通ねーよな」
明らかに落ち込んでる様子。つまり古市はあるってことだ。
「告られたのか」
「…………否定したいトコだけどな!」
「ふーん。返事は?」
「NOに決まってんだろーがあああああああああ!!」
何を好きこのんでOKしなくちゃいけねんだ!
俺は女の子が好きなんだよ!
「しかも、もう軽く10人は越えてんだけどっ!!」
最近元気がなかったのはそれでか。なんとなく苛つく。
「モテモテだな、古市」
「嬉しくねーよ!」
ダパーっと涙が滝のように流れている。
古市は自分が何故告白されるのか分かってない。想像したくないだけだろうが。
「…………顔は可愛いからな、お前」
「男に可愛いとか言われてもキモいだけなんだけど?」
男鹿を睨む。
もちろん睨んでも男鹿には何とも思われないことぐらい知ってる。
「つーか、そいつら何てお前に言ってきたんだ?」
「……………」
「なんだ、言えよ」
「……………何か珍しいな。こういう話しに興味持つの」
「いいから教えろって」
何でそんな楽しそうな顔してんだお前。
まぁいいか。
「………普通に『好きだ、付き合ってくれ』みたいな感じ?」
本当に普通。
「で、お前は?」
「男と付き合う趣味はないから、帰って下さいって」
「それで?」
「……………言いたくない」
思い出すのも嫌な顔をする古市に男鹿は詰め寄る。
「続きは?」
「………………」
だんまりになる古市に溜め息をつき、古市の図星を差す。
「大方、俺と付き合ってるとか言われたんだろ」
「!、なっ、何で知って……」
目を見開く。男鹿が告白の現場に居たのは考え難かったからだ。
相手はいつも男鹿と古市が確実に一緒にいない時を狙っていた。
「正直な話、何人かに聞かれたぞ。同じこと」
『男鹿って古市と付き合ってんの?』
その時は俺たち周りからはそんな風に見えてんのか、そう思った。
「お前、それに何て言ったんだ?」
悪い気はしなかったから、ただ一言。
「さぁな、って」
「ばっ、ばっかじゃねーの!?それじゃあ誤解されるに決まってんだろっ!?」
男鹿の胸ぐらを掴む。涙を滝のように流しながら。
「………誤解がダメなのか?」
「あったり前じゃボケェ!」
頭をスパーンと叩く。男鹿は叩いてきた古市の腕をガシッと掴む。
「なら、付き合えばいーだろ?俺と」
あぁ、頭が痛くなってきた。
これは冗談なのか、お前のことだから本気だろうけど!
「いや、そういうことじゃなくって!つーか何!お前も俺が好きとかそういう感じなのっ?」
こんなモテ期いらねーよ!?
「好きっちゃあ、好き」
「何その曖昧な感じ!!」
好きなら好きではっきりしろよ!別にお前に好かれたいわけじゃねーけど!
「俺と付き合や、誰も手出ししねーだろ。もし襲われても知らねーぞ」
「そーかもしんねーけど………つか何で俺?」
「………………さぁ」
「さぁって…………」
古市は分かってねぇ。自分がどんだけ可愛いか。
色白で喧嘩が弱くて、でも気は強くて笑顔が可愛い。
本人は知らない。俺だけが知っていればいいことを他の奴も気付いた。
古市の可愛さに気付いた。
………………言わねーけどな。
「どーせこれからも俺の傍にいんなら別にいーだろ」
「えー………。まぁいいや、もう……」
面倒くせーし。
言ってもコイツ聞かないし。
「お、」
声が口の外に出なかった。
いや塞がれていて出せなかった。
「っなに、キスしてんだよ」
「付き合うんだろ?ならキスくらいするだろ普通」
「…………一応聞いとくけど、どこまですんの?男同士だけど」
「最後までに決まってんだろ」
「そーですよねー……」
「…………古市」
「あ?」
「何でもねぇ」
(お前は誰にも渡さねーよ)
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古市は絶対男子に告られたことあるよね
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