※微エロ












嫌々連れてこられた合宿先で下手したら死人が出るんじゃないかというようなメニューで疲れ果てた頃。
灰崎は確かに自分の指定されていた部屋に居たはずだった。
学年毎にレギュラー別で部屋分けされキセキの世代が勢揃いしたカラフルな部屋に居たはずだったのに、今自分は何故か赤司に連れ出され主将と副主将用に割り当てられた二人部屋に居る。
強制的に引っ張りこまれた部屋で待っていたのは言うまでもなく虹村で。
抵抗する間もなく明け渡された灰崎は荷物を運ぶ赤司を慌てて引き留める。

「おっ、おい!てめっ、何処行く気だ赤司!何で荷物持ってってんだよ!」
「ああ、俺とお前の部屋逆になったから」
「はあ?」
「お前の普段の素行が悪ぃからな、レギュラーになんかあったら困るってことで主将の俺がお前を見張ることになったって訳だ」
「では俺は行くので後よろしくお願いします虹村さん」
「ちょっ………」

それだけ告げると去っていってしまった赤司に灰崎は唖然とする。
最悪だ。何だって俺がこんな目に合わねーといけねんだ。この後のことを考えるだけで頭が痛い。
虹村はがっくりと肩を落とす灰崎を無理やり振り向かせ満面の笑みで迎える。

「どうだ?俺と同じ部屋になれた気分は」
「最悪っす………」
「ほほーう、そっかーショウゴ君はそんなに俺の拳が欲しかったのかー」
「ゲッ……!あんたそうやって直ぐ殴んの止めろよ!つか今回俺大人しく練習参加してただろ……!なんでアンタと同室にされてんだ!?」

寄りによって何で虹村さん?嫌がらせ以外の何物でもない。
いや赤司と二人とかも嫌だけどだからってほんとこれはない。
絶対何だかんだ理由付けて殴られるしいてーし、つかこれ言い出したの誰だよ!
ガシガシと頭を掻き毟りながら頭の中で叫んでいると突然後ろから抱きすくめられた。
流石に灰崎の忙しない思考も停止した。

「理由、知りてーの」
「は?そりゃ、まぁ………」

まさか俺に会いたいとかそういう類じゃねーよな?違うよな?流石に合宿先でそんな私情出さねーよな?
無言のまま汗をだらだらと流す灰崎を抱き締める腕に力が籠もる。心なしか身体が熱い。
まさか、と己が想像した答えに灰崎は青くなる。
耳元で虹村が囁いた。

「赤司がよ、どうしても一年レギュラーの中に混ざりてぇって言うから仕方なくこうなった」
「は?」
「まぁお前どうせあいつ等と慣れ合うつもりねーんだから交換してもよくね?みたいな感じで話がまとまって、一応監督への言い訳も考えたってわけな」
「は?」
「だからお前は諦めて俺と二人っきりでイチャイチャするしかねーんだよ」

意味が分からない。何だって赤司の我が儘の犠牲に俺がならないといけねんだ。しかもイチャイチャとかねーよ。
灰崎の心の声は余所に、虹村は灰崎の身体を反転させ押し迫る。
意味有りげに腰を抱く腕から逃れようと後退するが壁に背中が付いた時点で諦めた。

「虹村さん、アンタ流石にココで何かする気じゃねーよな?」
「んー?どうだろうな?」
「顔近ぇースよ」
「近付けてんだ」

顔を逸らすことで反抗するが結局何の意味もないことは灰崎自身分かっている。
それでもほんの少しの抵抗として、近付く唇を手で封じた。
力も何も籠もってないただ押し付けるだけの囁かな防御に虹村の口は緩んだ。
そして灰崎の手を左右の壁に優しく繋ぎ止めると、近距離で笑う。

「灰崎、キスさせろ」
「っ………」
 
何かを言う間もなくあの尖った唇に塞がれた。
啄むだけのキスは心地よく、つい身を任せてしまったその時。

「虹村さん、灰崎の荷物持ってきました」
「おうサンキュな。その辺置いといてくれ」
「ッ!!!??」

突然入ってきた赤司に灰崎の思考は固まる。
流石に男同士のキスシーンを見られて平然としていられる程大人じゃない。
赤司は灰崎の荷物を下ろすと去り際に一言忠告した。

「俺が出たら鍵は掛けておいた方がいいですよ」
「そうだな、忘れるトコだったわ」

パタンとドアが閉じると言われた通りに鍵を掛け、ついでに灰崎の荷物を部屋の奥まで運んだ。
未だ壁際で微動だにしない灰崎を虹村は引っ張り緩く抱き締める。
しかし何の反応も示さないため顔を覗くと思い切り睨まれた。

「………離せよ」
「別に赤司は誰にも言わねーし、気にしねーよ」
「そーいう問題じゃねーだろ。つか今日何もしねーだろうな?」
「……………」

無言の返事に後ずさるが直ぐに腕を掴まれた。
虹村の顔を見るとさっきまではなかった色が目の奥で光っていて、思わず息を呑んだ。
あ、これヤバいと思った時には既にベッドに押し倒されていた。
すげー柔らけーなとか呑気に考える余裕もなく虹村をそろっと見上げる。

「虹村さん?冗談だよな?」
「俺はお前とイチャイチャしたい」
「はあ?アンタとうとう頭がおかしく……」
「なってねーよ」

スパァンと良い音が灰崎の頭から響く。
叩かれた頭を押さえながら虹村を見ていると再び唇を奪われた。
優しいソレは灰崎を宥めるようにただ上から降ってくるだけだ。
しかしそれで宥め賺される程灰崎は単純でもなく、虹村の胸を押し返す。

「ドコまでする気っすか」
「抱きたい」
「はっ?だ、ムリッ!それはムリ!」
「俺はお前が抱きたくて赤司の申し出許可したんだ。利害の一致ってやつな。だから諦めろ」

そう言われてはいそーですかと言える程お人好しじゃない。
むしろお人好しとは真逆の位置に居る人間に対してそうも都合良くいく筈がない。
いくら恋人と言えど今回だけは頷けない。
灰崎は押し返す手に力を籠めるが虹村が退くような気配は微塵もなく、ただ真上から鋭い目に射抜かれる。

「俺だってほんとは普通にキスしてお前抱えて寝るだけのつもりだったんだよ」
「いや、それでいいじゃねっスか」

何がいけないと言うのか。
俺に言わせればそんな恥ずかしい状態のまま寝るのすら勘弁して欲しいがヤられるよりかはマシだ。

「練習中のお前思い出したら何かムラっと」
「死ねよアンタほんと」
「主将様に向かって死ねとはなんだ死ねとは」
「その主将様が合宿先で淫行に励もうってか?」
「なんか悪ぃか」

からかうように言えば虹村は案外素直に認めた。
主将という面を盾に逃げようと考えていた灰崎の頬には冷や汗が流れる。
不意にちゅっ、と首筋に唇を落とされ身を捩るがそのまま筋に沿って舌を這わされる感触が背中を通り抜けた。
顔を上げた虹村は既に捕食者の目をしていたが灰崎は諦めない。

「言っとくけどムリなモンはムリだから」
「…………お前な……最後に抱いたの1ヶ月も前なんだぞ?それをこの状況で我慢出来る訳ねーだろ」
「我慢しろよ!つか明日練習出れなくなんだろうが!」

いつもならサボりは大歓迎だが今回ばかりは違う。
虹村とのことを知っている赤司や黒子なら容易に練習に出れない理由を察するだろう。
灰崎はその時に向けられる生暖かいような小馬鹿にしてるようなそんな目で見られるのが一番嫌いだった。
それに加え後で根掘り葉掘り事を聞かれるのも分かり切っている。

「絶対イ・ヤ・ダ!」
「お前な………」
「大体同じ施設内にアイツ等居んのに落ち着いてヤれるわけっ………ぅ、ン」

強引に塞がれた口からはくぐもった声が零れるだけで、文句の一つも言えやしない。
口腔を優しく撫でるような舌使いに思わず身を任せてしまいそうになるが、灰崎は力ずくで虹村を引き離した。

「なにすんだよ」
「何すんだはこっちの台詞だ!いい加減諦めろよ!」
「ムリ。つーかマジで抱かせてくんねーか?お前に触りたくて死にそう」
「なっ………!」

右手を引かれた先に触れたモノは既に若干の熱を持った虹村のソレで、灰崎は顔を引きつらせた。

「触らせんなボケェ!」
「お前ほんと強情だよな」
「アンタがしつけーんだよ………つかそれ、フェラしてやっから今日はマジで諦めて欲しいんスけど」

これは最大の譲歩だ。フェラなんか別に好きじゃないけどこの際背に腹は代えられない。
いくら何でも男としてこれに食いつかない訳がないだろ、と虹村を見ると何とも複雑な顔をしている。
いやいやいやいやそこ悩むとこじゃねーし。

「あの、虹村さん………?別に合宿終わってからなら俺大丈夫なんだけど……」

駄目押しとして約束を取り付けようとするが、虹村はそれを両断した。

「スッゲー魅力的な申し出だが断る」

真面目に言い切った虹村に怒るよりも呆れる方が勝ってしまった。
虹村のしつこさには呆れたがそれでも、そこまで自分を抱きたいと言うその熱意に押された。
少しだけ求められることに喜びを感じたのは言えないけど。
灰崎は目を伏せると再度虹村を見上げ、また視線を斜めに伏せた。
心なしか熱い顔を見てか分からないが虹村が優しく目尻を下げる。

「キス、させてくんね?」
「すればいいだろ………っ、……」

音も立たない優しいキスを贈ると今度は灰崎の耳元に口を寄せた。
息を吸う音が聞こえる。


「灰崎、抱かせて」


低い声に心臓が、震えた。
最悪だと思うのに抵抗する気はもう起きない。

「すれば、いい……だろ………クソッ」
「ん、………サンキュな」

ほんとに嬉しそうな顔をするから思わずうっかりときめいてしまった。
自分より深い灰色の瞳が綺麗であまりにも自分を求めていて、だから仕方ないことなんだ。こんなにも心臓がうるさいのは。
灰崎は虹村の後頭部に手を回し、顔を引き寄せて触れるだけのキスをする。

「言っとくけど、長期戦はムリだかんな」
「分かってる。一回だけ、な?」
「いやアンタが一回で終わるとかありえねーし……」
「じゃあ二回」

結局二回かよ。しかも一回で終わらせる気やっぱりなかったんじゃねーか。
そんな文句もいつもなら言ったかもしれないが、今はまぁいいかと自分の中にしまった。
だって俺はどうあったってこの男に抱かれるんだから。

「灰崎」
「何すか」
「………いや何でもない。シャツ自分で脱げ」

何か他に言いたげな顔をしているのに言いにくそうな表情をする虹村に引っかかるがとりあえず言われた通りにシャツを脱ぎ捨てた。
その仕草に虹村は唾を飲み込む。

「いいな、自分で脱がせんの。ソソる。」
「アンタ……ほんと頭イカレてんな」

こういうのは女にやらせるからいいんだろ。
普通は恥じらいながら脱ぐ姿に萌えるわけで、灰崎は特に恥じらう訳でもなく適当に脱いだだけだ。
一体どこにそそられたというのか。
訝しげに虹村を見るとそこにあるのは楽しそうな顔で続く悪態は喉の奥に引っ込んだ。

「アンタも脱げよ。俺だけ半裸とかねーし」
「おう」

虹村は服を脱ぐと灰崎と同じように投げ捨てる。
そしてこれからが本番だと言うように深く唇を合わせ舌を差し入れた。








「………はっ……ン!………ん」

前戯も程々に身体をゆっくり丁寧に繋げるとそれに耐えるように灰崎は声を殺していた。
手で抑えられた声が欲しくて手を上からそっと重ね、額にキスを落とす。
額に浮かんだ汗はしょっぱかったが、灰崎のものだと思うと何故か甘く感じる。
下からそれを見上げている灰崎は虹村の柔らかい顔に眉をひそめた。

「な、んだよ」
「いや?声聞かせてくんねーかなって」
「………知るか」
「言うと思ったけどな。だから、実力行使」
「は、ちょ…………ひッ、ん…ぐ……!」

腰を何の前触れもなく揺すられ思わず出そうになった声を慌てて噛み殺した。しかし始まった律動は止まらない。
激しくないその動きは虹村が遊んでいる証拠で、早く終わって欲しいのにこれでは当分終わらない。
最悪だ。やっぱりヤるんじゃなかった。

「ん、は………ッは、ク」
「声聞かせろ」
「嫌だ、つってんだろ、が………っぅ、く」

いつもなら声なんて別に気にしない。
自然と漏れる喚声は虹村が喜ぶし、羞恥はあるが嫌じゃない。
けど今日はダメだ、ココでは出したくない。
頑なな灰崎に虹村は一度動きを止める。
まさか怒らせたかと虹村をボーッとした頭で見ている間に、気付くと抱え込むように抱きしめられていた。

「な、」
「声、くれよ」

何かを言う前に遮られた。
そして切ない声でしつこく声を聞かせろと言う虹村を跳ね返すことも出来ず、抱き返している自分がいる。
別に肯定の意味じゃない。
けど俺と同じ男のくせに何となく可愛く思えたから抱き締めたくなった、それだけ。

「………そんな聞きてーの」
「当たり前だろ。つーかそんな声我慢して苦しそうなお前見ながら集中なんかできっか」

まぁ、それはそれで燃えるけどな。
笑う虹村に灰崎は出そうになる舌打ちを飲み込んで横を向いた。

「……意味分かんねー………」

そう呟いた灰崎の耳は赤く染まっていた。
悪態ばかりのくせに変なトコが素直で虹村はおかしさに笑いを零す。
灰崎は虹村に視線を戻すと悪魔で不機嫌そうに真っ直ぐ睨みつけて言った。

「………俺はアイツ等が居るココで声なんか出したくねー」

それは、それだけは絶対に嫌だ。
けど、

灰崎の指が虹村の唇を撫でた。


「けどよ、アンタが俺の声消してくれんなら我慢しねぇ」


虹村は気が付けば既に目の前の男に優しく唇を重ねていた。
生意気で敬語も偶にしか使えないようなコイツが可愛くて仕方ない。
俺に絆されている、それが楽しくて嬉しくて愛しい。
胸の高鳴りは止むことを教えてくれず、ただひたすら愛しい存在を植え付けていく。

「動くぞ………灰、じゃねぇ……」
「?」
「し、祥吾…………」
「………!」

聞き慣れない呼び名はむず痒くて、言った虹村自身視線を逸らして羞恥に耐えるように口を閉ざしている。
灰崎は口角を上げ顔と顔がぶつかる勢いで虹村を思い切り引き寄せた。
急に近付いた距離に呆気に取られる虹村にキスを送ると挑戦的に笑う。


「来いよ、修造サン」



虹村は息を呑み、貪るように灰崎を抱いた。








翌朝、俺達は朝食ギリギリの時間に目が覚め危うく時間に遅れるところだった。
ダッシュで着替えホールに行けば皆すでに朝食を取り始めていて、俺達も慌てて列に並んだ。

「最悪。なんでこんな朝からバタバタしねーといけねんだよ」
「そりゃお前が起きねぇからだろうが」
「アンタだって寝てたくせに」
「ああん?」

今にも掴み掛かりそうな二人を止めたのは背後からの声。

「おはようございます」
「うおっ!…………なんだ黒子か」

お馴染みのように驚く灰崎に黒子は気にした様子もないが、ただ二人に爆弾を投げた。
おそらく若干の遊び心を混ぜて。

「お二人共、どうして昨日とシャツが逆なんですか?」
「「は?」」

言われた瞬間、虹村と灰崎がお互いの格好を見合うとそれは黒子の言った通り昨日と服が逆になっていた。
下地の色がどちらも同じで気付かなかったのだ。
灰崎は大きめのシャツを好んで着るため、実際虹村と灰崎が持っているシャツのサイズは同じ。
大きさで気づくことも出来ない。
汗がだらだらと灰崎の輪郭を流れていく。

「あー、昨日コイツが暴れてな。抑えんのに必死になってたら揉みくちゃになって気がついたら半裸だったってわけだ。そんまま朝まで寝たらこうなってた」
「へぇ、そうなんですか」

虹村の言い訳が特に意味をなしていないのは灰崎が一番よく分かっていた。
黒子の目が灰崎から外れないからだ。


「…………………最悪だ」



この後黒子と赤司に詰め寄られたのは言うまでもない。


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虹村さんが優しく、生意気な灰崎君を頑張りました。
赤司様と黒子っちと灰崎君のトリオが好きです。
いじめっ子と弄られっ子の関係がたまらんです。
このトリオもっと増えても良いと思うの。三期はよ。
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