黄瀬は中学の時、よく俺に好きだと言っていた。
当然女が好きだった俺はそれを全て一蹴していたが。



「青峰っち!俺と付き合って!」
「はぁ?なんで」
「なんでって………好き、だから?」
「あっそ」

どうして疑問系なんだ。

「だいたいそーいうのは本命の奴に言ってやれっつーの」


黄瀬はモデルだしスポーツ全般出来るから相当モテる。
どこに居ても女子に群がられていて、クールにあしらってはいるがファンが居ないところでは始終へらへらしてる。
ファンはきっとこんな黄瀬の姿を知らないだろう。
格好付けてるだけでとんでもなくヘタレなことも、たまに本当に男らしくなるときの表情も。
皆雑誌の中の上辺だけのこいつを見ている。
本当の姿を知らないくせに勝手に評価して自己満足に浸っている奴等を見ると吐き気がする。

「ま、とにかく俺はホモじゃねーから。残念だったな」
「青峰っちそうやって断ってばっかじゃん……、一体あと何回告白したらOKしてくれるんスか」
「お前が努力すりゃいいだろ」
「………頑張ったら落ちてくれんの?」

恨めしそうに上目使いで睨んでくる黄瀬にさぁなと曖昧な返事を返す。
黄瀬は少し拗ねているような表情をしたが直ぐに柔らかいものに変わった。

「俺、ほんっと…………アンタのこと好きで仕方ないんスよ」


好き、何度も聞かされた言葉だ。一体コイツはあと何回それを言い続けるつもりなんだろうか。
スタイル抜群、運動神経も抜群。しかも現役モデルが俺を好きだとさ。

正直止めてほしい。俺なんかじゃなくても他に良い奴はいる。
女にだって目を向けてみればいい。
そうすればコイツは間違った道を進まなくてもすむのに。

青峰が口を開こうとした瞬間、黄瀬は今までのどの雑誌にも載せていない笑顔で笑って言った。



「大好き」



「……………あ、そっ」


一瞬だけ目が惹き付けられた、なんて………嘘だ。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



アイツの笑顔と、俺を好きだという声が頭から離れずに一年。WCが終わってから三ヶ月。
会場でアイツを見かける度、声を掛けたくて堪らなかった。
黄瀬はもう俺を好きだとは言わないから多分恋愛対象として見られなくなったんだと思う。

今更後悔しても手遅れであって何にもならない。
それでも俺は………………



「青峰っち………?急に呼び出してどーしたんスか?」
帝光中に来いと呼び出されたはいいが、当の本人はどうにも気難しい顔をしていて居心地悪い。

「なぁ、お前さ………今でも好きか?って聞いたら引く?」
「え………何、が?」

黄瀬は眉間に皺を寄せて分からないと怪訝な顔をした。
らしくないなと思いつつ、そんな彼の頬に柔く触れると黄瀬はさらに戸惑うように眉を潜める。

「じゃーさ、もし俺が好きっつったらどうする?」
「えっ………え゛っっ!!???」

黄瀬は目が飛び出すのではないかという程目を見開き、戸惑うような、嬉しいような複雑な表情をしている。
青峰の手はそっと下に降りて黄瀬の腕を掴んで引き寄せた。

一歩分近付いた二人の距離は人一人が入るか入らないかの短い距離になり、黄瀬の心臓は煩い程に脈打つ。
青峰もまた、学校の静かな風が吹くなかで期待と不安が交差した妙な緊張感を肌で感じた。
黄瀬の瞳も期待を映し出して、青峰の言葉を待った。


「黄瀬」
「……………」

「まだ気持ち、変わってねぇよな」


もう黄瀬は俺を中学卒業のときに忘れたんだと思っていた。
好きと言ったことも全部気の迷いと黄瀬は後悔しているのかもしれないと決めつけて。
………でも、違う。



「…………っ……」

小さく頷いた黄瀬は額を青峰の肩口に押し当てた。

触れた箇所から伝わってくる。コイツの変わらない『好き』が。



「俺も………好き」

「…っ、………っぅー………」


背中に強く腕を回して抱きついてきた黄瀬に笑みが溢れる。
今思えば、多分俺は中学の時点で黄瀬に惚れていた。

自分が分からなくなって周囲の声もほとんど聞こえて来なくなってきていたあの時。
黄瀬だけは付いてきてくれた。
…………いや、黄瀬の声だけが俺の中に澄んで聴こえてきた。

それをあの時の俺は認めたくなかったから、一線引いて越えないようにしてきたのかもしれない。
けどそれは違っていて、認めるとか認めないとかそんなんじゃねぇ。
自己中心的で向上心も野心も無くしていた俺にとって、黄瀬は遠かった。








ただ、君の真っ直ぐな言葉が眩しかっただけだったんだ。


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段階を飛ばしまくりましたが通じてくれるといいです・・・
そして青春の鼓動を感じて下さると嬉しいですww

青黄やっぱり書くの楽しいわ・・・・・・ww
ということでキャラがブレまくっておりますが気にしたら負けです
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