部活がない日。
普通は喜ぶのだん。
しかし今は冬。
部活をしている時は冬の寒さを忘れてしまうくらいに熱くなる。

それが今日はない。
つまり普通に寒い。


「あ゛――――!!さっびぃ!!」
一緒に帰ろうと青峰のクラスへと出向くが窓の外からは強い風が吹き付ける。

「青峰っち帰ろ―!」
「用意すっから待ってろ」
「おけっス!」

教室の外で待ちながら携帯を開く。
待受は以前隠し撮りした青峰の寝顔。

「お前まだそれ消してねーのかよ」
「だって超レア物っスよ?消すわけないっス!」
「あっそ」
「つか青峰っちだって俺の写真保存してるじゃないっスか」
「してっけど、さすがに待受にはしてねーよ」

ちぇっと口をへの字にしながら携帯を閉じ、歩き出す。
黄瀬は後ろから青峰の腕に自分の腕を絡ませた。

「お?」
「さ、寒いからっ……くっついときたいなー……って」

だめっスか?と上目遣いで言われたら嫌がれるわけがない。

「俺も寒ぃから構わねぇよ」
「青峰っち優しいっ」

ギュッと青峰の腕に抱き着く。
もう皆帰っていて、廊下に誰もいないのが幸いだ。



「黄瀬」

下駄箱の辺りで青峰は黄瀬に不意打ちでキスをした。

「唇まで冷てぇとか」
「俺、冷え性っスから。青峰っちは体温高いっスよね」

「別にそれで嬉しいことなんかないけどな―」
「えー?俺としては嬉しいっスよ」
「湯たんぽ代わりってか」
「青峰っちは俺だけの湯たんぽっス!」

無邪気に青峰の首に腕を回し抱き着く。
ここが下駄箱であることも忘れて。


「黄瀬、今から体温めてやろうか?」
「?」

「温めるつってんだから激しい運動に決まってんだろ?」

「…………いいんスか?」
「あ?」
「じゃ、こっち!」
「おっおい!」




腕を引っ張られ連れてこられた場所は体育館。
誰もいない。
部活がないため当たり前なのだが。

「体育館でやんの?」
「へ?1on1するんスよね?」
「……………」

あぁ、なるほど。
そういう感じに解釈したのか。
いや可愛いけど。

「それにしても青峰っちから1on1誘ってくれるとか!俺めちゃくちゃ嬉しい!」

「…………まぁいっか」
喜んでるし。

「何がいいんスか?」
「うぉわっ!」
下から覗きこまれる。
襲ってやろうかコイツ。

「何もねーよっ!それより早くすんぞ!」
「着替えないんスか?」
「だりぃからこんままでいーだろ」
ボールを黄瀬に向かって投げる。パシッと乾いた音が響いた。

「じゃ俺先攻で」
「負けたらマジバ奢りな」
「えぇっ!それ俺が9割の確率で奢りみたいなもんじゃないっスか」
「何言ってんだ、100%だろ」
「青峰っちのバカ――!!」



―30分後―

「やっぱ俺の勝ちじゃねーか」
「お、俺の金があぁ………」

がくっと項垂れる黄瀬の頭をガシガシと撫でる。

「しょーがねぇな」
「ふぇっ?」

額に唇が触れた。

「これでチャラにしてやる」
「さっ、さすが青峰っち!」



冷えていた肌はいつの間にか温かくなっていた。

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