毎日毎日、中二にもなって喧嘩三昧。
確かに身長は伸びて高校生との体格差も縮んだが怪我をしない日はない。
今まで負けなしとはいえ、見ていてハラハラするばかりである。
もちろん相手が素手なら安心して男鹿の喧嘩を見られるが、ナイフやバットを持つ相手に安心出来るほど俺の神経は太くない。


「なぁ、もう少し抑えろよ。最近多くね?」
「あん?向こうから来んだから仕方ねーだろ」
「仕方なくねーよ。お前が売られた喧嘩片っ端から買うからだろ」
「別に勝ってんだからよくね?」
「俺が言いたいのは勝ち負け云々じゃねーよ」


喧嘩をするな、とは言わない。
それは男鹿にとっては一種の趣味のようなものだから。
本当は怪我をして欲しくないけど、俺が手当てすればいいだけだからそれも我慢できる。
でもさすがに、怪我が治りきる前に次の相手に挑もうというのは止めてほしい。

「お前………せめて万全の状態で喧嘩しに行けよ」
「別に古市には迷惑かけてねーじゃん」
「いやいやいや!かけてるから!巻き添えくらってるから!」

ほらここ!と頬を指差すとあぁ確かに腫れている。
そういえば古市の後ろにも仲間らしき奴がいた。
確かに万全であればそんなことにもならなかったかもしれない。


「…………痛ぇか?」

傷をやんわりと親指の腹で撫で上げる。
古市は困ったように首を横に振り、男鹿の座る瓦礫に腰を下ろすと肩が触れ合う距離まで近づく。


「俺は別に痛くない、けど………。つか………お前が外に出なきゃ喧嘩にもなんねーだろ」
「古市、塾で家に居ねぇからそれムリ」
「………普通にお前の家で大人しくしとくって選択肢はないんかい」
「古市と一緒じゃねぇと意味ねーよ」

肩に手を回されるまま引き寄せられ、体が密着する。
少し冷えてきた夕方に男鹿の体温は心地好くて離れる気は起きず、若干冷えた体を預けた。
近くで見ると男鹿の顔には切り傷があり、おそらく学ランの下は打撲傷が大量にあるのだろう。
痛いはずなのに、治りかけてはまた喧嘩で新しく傷を作ってくる。


「喧嘩のどこが楽しいんだか………」
「どこって………殴ったらスカッとすんだろ」
「理由サイテーだな、おい」


確かに喧嘩最中の男鹿は普段よりイキイキしているが、俺が言いたいのはそういうことじゃない。
俺はただ…………



「心配、してんのか」

「は?」

「俺の心配」
「……………………っ」


図星を指されてカッと顔が朱に染まり、いつものように反論をしようかと思ったが、何も言えず口をつぐんだ。
そうだ、心配なのだ。
最近、男鹿の敵が不良だけでは収まりきれなくなってきていて、だから無茶して欲しくない。
友達として、と声に出すのはむず痒くて出来ないけど、もしものことがあっても俺は何も力になれないから。

「お前の喧嘩欲が他のもんで満たされりゃ、ちょっとは減るのにな」
「他?」
「ゲーム欲は満たされてるし、食欲とか睡眠もいいだろ?他になんかねーの?」

そうだ、用は男鹿の喧嘩に対する欲が他に向けばいいんだ。
でも男鹿は基本自分の好きなように自由に生きてるから、満たされてないもんなんかないような気もする。
なんか他に男鹿の欲あるか?

悶々とする古市を眺めながら男鹿は少し言うかどうか悩み、言った。

「あんぞ、他にも」
「え、何?………………っ!……?」

男鹿の方に嬉々と振り向くと、輪郭に固い手を添えられて頬に柔らかい感触がする。
近い、と認識したのと同時に頬にキスされたのだと分かり、顔がぼっ、と燃えるように熱くなる。
男鹿は古市にキスしたことに関して悪びれた様子もなく、自身の頬を人差し指で指す。


「古市が同じことしてくれたら、喧嘩減らす」
「はっ…………はあ!!?」

耳元で大声を出すなと言いたいところだが我慢する。
今のところ叶えられていない満たされない欲と言えば、古市。
古市が、足りない。いつも一緒に居るはずなのに何故かいつまで経っても満たされない欲。

どーせ、嫌がるに決まってら。


そう思った瞬間、頬に走る温い体温。



「…………こんなんでいいのか?」
「……っ………あー………マジか」


まさか本当にされるとか。あー…………やべぇな。
うわー………古市馬鹿だろ………、一回されたら満たされる所か、余計に………あー……




「なぁ………もう一回」




満たされるまで。



頬:満足感(満ち足りること)

――――――――――――――――――――――――――――――

ということで、第一弾は男鹿古です。
今回は親愛ではなく満足感の方でとってます。
親愛の意味よりも満足感よりになってしまったのでw

キスお題は短めで多分いきます^^

ちなみにこの男鹿古もちろん付き合ってないですよ。
イメージは男鹿→→→→→(←←)古です。
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。

よろしければ


拍手お礼文で青黄置いてます