「…………男鹿」
「なんだ」
「外行きたい」
「ダメだ」
「なんでだよ!せっかくの日曜日だぞ!?」
「ダーメ。お前危ねぇし」

朝から古市の部屋に押し掛け、家から出ていかないか見張っている。
確かに普段なら部屋でまったり二人で過ごすところだが、今日は古市の好きな漫画の発売日。
買いに行きたいに決まっているが男鹿がそうさせてくれない。一緒ならばどうだと言うも、拒否。
全くどうしたものか………

「男鹿は過保護すぎ」
「お前が乳揉まれたりしなけりゃ俺もこんなことしねーよ」
「それは俺のせいじゃねぇだろ……」
「お前が可愛いせいだ」
「…………」

なんかなぁ……………
男の時は嫌なのに女の子になってる今、物凄く恥ずかしい。
可愛いって言われて嬉しい。それに動悸まで、する。
おかしいだろ、こんなん。ほら、男鹿だってなんか吃驚してる、し………っ?

「お、が?」
「こっち見んな………っ、いいからマジで見んな!」
「いや、え、え?」

男鹿の顔が赤い。なんで?お前が照れる要素が一体どこにあった?
皆の前でキスかますような奴がなんで照れてんの。
二人きりだから?でもそんなの今まで腐るほどあったじゃん。
あ。そうか。

“男”と“女”だから。


「二人きりだから意識してんの?」
「は?ちげーよ」
「じゃ、なんでんなに赤くなってんだ」
「それは……………」

赤くなった古市の上目使いが可愛すぎて押し倒したくなったのはいいけど、いつもよりさらに細い体を抱いた時のこと想像したから。
とか言えねぇ………!言ったら追い出される!!
が、正直抱きたい。でも今の細っこい古市を抱いたら壊しそうで手が出せない。

「男鹿?」
「………………なんだ」
「したい?」
「ぶっ!!!」

どっからか聞こえた幻聴のせいで盛大にお茶を吹き出しちまった。
あーあもったいね。後始末とかマジだりぃしよ。
聞こえてきた言葉を頭の片隅に追いやって、溢れたお茶を吹いていく男鹿に詰め寄った。
もちろん古市が、男鹿に。

「あのさ、したいならしたいって言えよ。さっきから変にそわそわしやがって」
「ふ、古市、君?」
「ムカつく」

ぐら、と体が傾き、押し倒される格好になる。
は?は?え?


「なに俺相手に弱気になってんだって言ってんだよ」

真上から見下ろす眼には呆れと怒りの色が映っており、男鹿は息を飲んだ。
姿が女になってもやっぱり古市は古市だ。こういう時は妙に男らしく納得するまで引かない。
そうだ、俺の惚れた古市はこうなんだ。
護られるばっかの奴じゃねぇんだよな。

「古市」
「……ん、ぅ」

古市の顔を引っ張り、軽く口付けて抱き締めた。

「女になっても古市は古市だな」
「当たり前のこと言ってんじゃねーよ」
「んー………ほんとな」

古市を体に乗っけた体勢のまま床に転がっていても良かったが、向こうから退けたため終了だ。
自分のベッドに寝転んだ古市は男鹿を誘うように手招きする。
一瞬躊躇ったが男鹿もベッドに乗り上げた。

「な、ヤりたくねーの?」
「ヤりたいとかヤりたくねぇとかの問題じゃねぇよ」
「じゃ何」
「……言ったら怒るから言わねー」


古市の身体が心配だから、とか言ったら絶対怒る。
現にさっき戸惑ったヤツでイラついてるっぽいし。古市は俺が古市を弱いと思うことを嫌う。
喧嘩で弱いのは認めるのに遠慮とかそういうのにはかなり敏感に感じるから厄介だ。
俺からすりゃ後ろで黙って守られとけ、って感じだけどそれじゃ納得しねぇんだとよ。
同等でいたいって前言われた。

「男鹿?………っ」
覗き込んできた大きな瞳に唇を落としたらカカカ………と赤くなった古市を抱き締める。

「可愛いぞ」
「うるさい…………」
「いつもみてーに可愛くないっつって怒んねーの」
「…………ぅー……」

肩口で唸る様子もやはり可愛くて仕方ない。
一頻り唸った後、男鹿の服を掴んでポソっと溢した。

「今は女の子だから………いいんだ、よ」
「…………そーか、いいのか」

いつもの古市らしくない。
何処かしおらしい恋人に新鮮味を感じつつもやはりキスや抱き締めるだけでは足りない。
男であれば何の問題もないというのに。

「あー……早く戻んねぇかな」
「男に?」
「男じゃねーと何も出来ねぇし」
「だから手ぇ出したいなら出せばいーじゃん」
「……………」

だからムリなんだっつの。
ったく古市バカ、マジでバカ。

「なー、おがぁ?」

甘えたような声で迫られてしまえば男として理性がグラグラ揺れまくって崩れてもおかしくないとはいえ、古市を離す。
理由を言って怒られたくはないが言ってしまった方が楽な気がする。
古市はしつこいから。

「なぁ、なんで?」
「……あれだ、そのー………古市のこと男でも女でも好きだけどよ……、やっぱ古市は男のが好きだから」
「……………ホモ?」
「よし、いっぺん死んどくか」
「嘘だって!あー、そうだな、じゃあそういうことにしといてやんよ」



本当は女相手だと壊しそうで抱けない、って思ってることなんか知ってるけど。

男鹿もバカだよな。そんな簡単には俺、壊れねぇのに。
伊達に悪魔騒動とかに巻き込まれてきてねっつの。
でも、それが俺を大事に思ってるからってことなら別に構わなくもない、かな。

男鹿は男の俺が好き。

つまりそれは男と男で対等な関係を男鹿が望んでるってわけで。
当然それは俺からしたらこの上なく嬉しいことなわけだ。


「早く元に戻りてーな……」
「あと8日か」
「もー、あれだな」
「お?」


「こーなったらもう元に戻ったらヤってヤってヤりまくるか!」

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うふふふ。ごめんなさい。めっちゃ放置してた、です。えへへへ。ごめんなさい。
おがふるっていいですね。
最近、というかなんかもうめっちゃ男前な古市が好きです。
男前な古市にときめく男鹿ちゃんが好きです。
本編で古市の出番が減って毎週毎週涙を流しております
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