昨日はビックリした…………
まさか高島と会うとは思わなかった。
―――――――――――――――――――――
「た、高島…………!?」
「おま、え…………マジで古市なのか?」
「い、いやっ……人違いです!」
「は?ちょっ、待てよ!」
「行くぞ男鹿!!」
―――――――――――――――――――
あー最悪。
よりによって高島はねぇだろ。
「今ケンカ売られたら絶対逃げ切れねーよ」
つか女装趣味の変態だと思われてまた因縁つけてくんだ、どーせ。
あいつどんだけ俺が嫌いなの。今日休日だしもう絶対家出ねぇ。
なんか外出たら絡まれそうだし、特に高島が張ってる可能性あるから下手なことできない。
男鹿にも来んなってしつこく言っといたから来ないはずだ。
今日は一人で籠ろう、それが一番イイはず。
「貴之、お友達が来てるわよー!降りてきなさい!」
「へ………友達?」
男鹿だったら顔パスのはずだ。
てことは別の誰か?
誰だ?
「一応行ってみるか」
気だるげに下に降りてその人物を視界に捕えた瞬間、全身が硬直した。
「よ、よぅ…………」
かなり気まずそうに、だけど若干頬を染めながらそこにいる高島。
な、なんで………!?つかどの辺が友達!?
「っ………なんスか」
「いやえっと……その………」
モジモジと気持ち悪くどもる。
不審に思いながら古市はため息をついて、ちょっと待ってて下さいとだけ言って母親が買ってきたダッフルコートを羽織った。
可愛すぎる古市を前にぽぅ、となる男の横をすり抜けて行きますよと振り返る。
路地を歩きながら数歩後ろを付いてくる高島に声をかけた。
「で、何の用ですか」
「…………………」
「喧嘩なら今は無理っすから、というか今したら軽蔑する」
「………………」
「あの何か言ってくれないと困、る…………?」
だんまり高島に苛つきを感じ、足を止めて振り返ろうとしたら後ろからやんわりと腕を回された。
抱き締められている、そう分かった途端に離れようとするがやはり男と女では力が違う。
「な、なにっ………離せ!」
「………マジで女?」
「……………は?」
「お前……………女だったのか?」
いつも追い掛けてくるときや罵倒してくるときの声じゃない、優しくて、けど切なそうに問い掛けられる。
肩に額を乗せてぐりぐりとしてくる動作はまるで男鹿みたいで、不良ってみんなこんなことすんのかと思う。
「なぁ……」
問い掛けに対する答えが知りたいのだろう。
掠れた声で急かされる。
「……………」
これはどう答えればいいんだ?
いや正直に答えるべきなんだろうけども…………もしも。
「もし俺が女だったとしたらアンタはどうするんスか」
古市の返答に動揺したのが密着した部分から伝わる。
「…………分かんね」
「なんだそれ」
「…………………」
「今日はなんで俺ん家来たんすか。そんでなんで家知ってんだよ」
「昨日久しぶりにお前見つけて話しかけたら逃げやがるから。あと女の格好してて気になったっつーか………」
「それで?俺が女だったらどうするんすか」
「……………嬉しいか、も」
嬉しいって………なんで。
高島の顔をチラ、と顔を傾けて盗み見ると最初は若干だったのに、今は耳まで赤くなるほどに真っ赤だ。
高島のこんな状態を知らなかった古市は目が点になった。
こんな奴でもこういう顔するんだ………と感心する。
「だからってお前なんか別に好きじゃないからな!!勘違いすんなよ!!」
ばっ、と離れた高島は真っ赤な顔で睨んでくるがそんな顔で睨まれても怖くもなんともない。
野郎相手に言いたくはないがむしろいつもより可愛げがある。
ツンデレって奴か?
いやいやツンデレは女の子がやってこそだろ。
男はサムイわ(笑)
つーか高島って………
「俺のこと好きだったんすか」
「は!!???ぶ、ぶばばばぅわっかじゃねぇの!!!!???すす、すすっすすしゅきとかんなわけねーだろぶぁーか!!!!」
「…………………」
あからさま過ぎるだろ。しかも噛んでるし。
え。じゃあ今までの全部まさか愛情表現的な?
好きな子ほど虐めたいみたいなそういう?
小学生かよ……!!
「センパイ、一応言っときますけど俺男だし。今は何故か女なだけで」
「だから好きじゃねえええ!!!」
「………じゃ、なんで俺が女なら嬉しいわけ」
「それ、は……………」
あ、やばい何か楽しい。散々苛められてきたんだ、これくらい許されんだろ。
古市は口角を上げ、高島をどう苛めてやろうかとほくそ笑む。
「俺が女だったら都合がいいからでしょう?男相手に好きとか認めたくないから」
「だから好きじゃねぇっ!!」
なんだこいつ!!こんな生意気な奴だったか!?いや生意気だけどよ!!
前はもっとおどおどしてて、でも挑戦的ですっげムカついたけどそんなトコが好きだ!!
ってちがーう!!いや好きだけどそうじゃねぇ!!
「でも俺はセンパイのこと嫌いです」
バッサリと切り捨てた古市に高島はあからさまに傷付いた顔をする。
だが古市だって嘘ではない。
高島になんだかんだといちゃもんをつけられ、暴力を振るわれたのだってまだ記憶に新しい。
罵られ、土下座させられたこともあった。そんな相手を嫌いになるなと言う方が無理がある。
好きなら好きで素直になっていてくれれば古市もそれなりに……いや困っただろうが、嫌いにはならなかったはずだ。
好意を向けられるのは嫌な気分ではないから。
「……だけど、もう意味の分からないちょっかい止めて普通にしてくれたら嫌いじゃなくなるかも、です」
「別に好きじゃ、ねーし」
「ほんとに?」
上目使いで顔をグッと近付けると高島は目を泳がせて直視してしまわないようにする。
近い近い!!コイツわざとやってんだろ!?
やばいやばいやばい!!体が熱ぃ………!!
「どっどけろ!!近ぇんだよ!!」
どんっと古市の体を両手で押し返すと両手に柔らかい感触がする。
まさかと視線を傾けると自分の手が古市の胸を触っていて。
体がガッと熱くなる。
そして男の本能がここで働いてしまったのか、勝手に古市の柔らかい胸を揉みしだき始めた。
「なっ………や、ちょっと何す」
古市が制止させようとするがどうやら高島の耳には聞こえないらしい。
もにゅもにゅと遠慮なく揉まれ古市は身を捩るが高島は逃がしてくれない。
さすがの古市もこれは本格的にヤバいと思うがどうすることも出来ない。
人通りがないと言っても路上だ。いつ誰が来るかも分からない。
「もっ…………マジ止めろって」
ギュッと目を閉じた瞬間聞こえたバキッという音。
よく聞き慣れたそれに目を開けると高島は目の前に居らず、壁にめり込んでいる。
頭上に?を浮かべていると後ろから誰かにガバッと抱き付かれた。
よく知った感触にホッとしたのも束の間、締め殺されそうになる。
「て・め・え・は!!!人には家来んなつっといてなに他の奴に触らせてんだ!!!」
「痛い痛い!!男鹿君ストップ!!」
知らねぇと言いながら腕の力を少し緩め古市の柔らかい体に頭をすり付ける。
不謹慎だが好きな奴に嫉妬してもらえて嬉しいと感じてしまうのはしょうがないだろう。
「おい」
「なに」
「お前の体別の男の匂いめっちゃすんだけど」
「あ、そーいや………」
「なんだよ」
「お前が今してることと同じことされた」
「あぁあん?どんだけ無防備なんだコラ」
そんなことを言われても困る。
いきなりで避けられなかったのだから仕方ないし、力が違いすぎて抵抗しても無意味なのだ。
だがそれを男鹿が聞き入れてくれるはずもない。
男鹿に苛々しているとめり込まされていたはずの高島がぱら……と壁から出てきた。
しかも酷い形相で男鹿を睨んでいる。
「てめぇ男鹿ぁぁああ!!!俺の古市に触んじゃねぇ!!」
「誰がテメェのだ!古市は俺のだ!!!」
「誰がお前のだ。つか高島さっきあんだけ好きなの否定しときながら全開じゃねぇか」
「ちげーし!!俺の獲物的なアレだボケ!!」
「古市を狩るのは俺だ!!」
獲物って…………なんじゃそりゃ。
男鹿と高島の古市を巡る言い争いに呆れながらも少しだけ、ほんっとに少しだけ、嬉しいと思ってしまったのは秘密。
「モテる女は辛いねぇ」
「俺は好きじゃねー!」
「そーだ、古市を好きなのは俺だけで十分だ!」
「俺も男に好かれんのはお前だけで足りてるわ」
遠い目をしながら答えると高島がぷるぷると震えながら若干涙目………ええええ。
「………り」
「あの……高島センパ」
「リア充なんか爆発しちまえええええ!!!!!」
うおおおおお!!!!と走っていく高島をぽかんと見つめながらまぁいっかと男鹿の手を引く。
男鹿が繋がれた手に視線を落とすと古市はにっこりと笑った。
「デート、しようぜ」
「デート?」
「そ。何かもう家出ちゃったしさ。映画、ショッピング?どこでもいいから行こーぜ」
「古市が行きたいとこでいい」
「おぉ」
その日二人は楽しくデートをしていたが、高島があの後古市を落とすと誓ったのはまだ知らない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
めっちゃ久しぶりですね・・・・ごめんなさい。
これからは週一くらいで更新していきたいです・・・・・
でも高島先輩は可愛い人ですよねww
古市大好きで仕方ない人だよねww
高島先輩もちょくちょく出す予定ww
スポンサードリンク
コメントフォーム