ギシ、とベッドのスプリングが音を立てて二人分の体重を支える。
月明かりのみに照らされる二つの影は静かに動いた。


「…………緊張しすぎ」
「うるせーな………初めてなんだからしょうがねぇじゃん。察しろよ。つかお前だって…………ちょ、なにっ」

言い終えないうちに男鹿が古市に嬉しそうに勢いよく抱きついてきたため、受け身も取れずに後ろに倒れた。

「まだ、されてねんだな?良かった…………東条にヤらせたと思ってた」
「………東条さんは優しいから、俺が後悔しないように手出さなかったんだ」

「……………さっき思いきり手ぇ出されてなかったか」
「途中までは、な?でもあの人最後までヤル気なかったから。そんなことより早く…………早くしたい」


古市の白い細い指が挑発するように男鹿の頬を擽れば、男鹿はニィ、と笑って古市にキスを落とした。
相変わらず触れるだけの唇を古市は舌先でつついて、何かと口を開こうとした隙間から舌を忍ばせる。
少し目を開いて驚いた様子の男鹿に気をよくし、再度目を閉じて男鹿の舌と自分の舌を絡めさせては角度を変えて深く交わらせた。

「ん、………んんっふ」
古市にリードを取られてたまるかとばかりに男鹿の口内でしていた交わりを、古市の口の中に押し返す。

「ぁ、………ぅん」
「脱がすぞ」
「あ、あぁ…………、ん、ふ」

左手で古市の顔をキスしやすいように傾けながら、残った方の手で器用にボタンを外す。
はだけていく古市の衣服から見える白い肌に目を奪われ口を離した。
どうした?と見ると自分の肌を凝視している男鹿をクックッと喉で笑う。


「小学校のころから何度も見てるだろ………?今更……」
「ちげーよ馬鹿」
「ん?」

昔見たのと今見るのでは全然気持ちが違う。
古市に欲情する気持ちが否応なしに高まってくる。


「…………ほんと綺麗だ。他の奴にも触らせたって思うだけで死にたくなる」
「…………ごめんな?その代わりもっとお前が触れ。………俺の全部、お前で満たせ」
「命令すんな、言われなくてもそうする」

白い肌に舌を這わせ、上へ上へと舐め上げていく。
肌触りも良くて本当に同じ男かと問いたくなるくらいに自分とは違う。

「ん…………ぁ」

舌が這う感触にぎゅ、と男鹿の頭を抱きしめ、耐える古市に可愛いと感じながら胸部にある淡い色をしたそれを舐めてみる。
白い肌によく似合う色をした突起を口に含んだ。
古市がビク、と体に若干力を入れたから嫌なのかと見上げたら、目尻を赤く染めていて恥ずかしいのだと悟れる。

「ぁ、………は、ぁ……なんか変な感じ、する」
「………乳首って気持ち良いのか?」
「分かんね………なんかくすぐったいかも…………ぁ」

舌先でコロコロと転がすのが楽しくて何度も繰り返していると、突起が硬さを持ち出した。
頂上に歯をかけて甘噛みしてみると、さっきよりも甘いくぐもった声を発する。

「んっぁ………」


今のが良い、のか………?

古市を気持ち良くしてやりたい男鹿は何度か同じように甘噛みを繰り返して、時折吸ってみた。
何とも言えない、堪らなそうな顔を見ると嬉しくなってくる。
空いた片方の手で反対側の突起に手を伸ばし、押し潰したり引っ掻いたりと行為を繰り返した。

「はっ………ぅ…ぁ」
「古市………なんか可愛い」

「うるさっ…………そこばっかいい、からっ………」
「…………そーだな」

古市のズボンに手をかけると、すでにそこは勃ち上がってズボンを押し上げている。
かくいう俺のものもさっきから古市の蒸気した顔や甘い声に疼いていたのだが。

「あ、オイ古市なにして………っ」
いきなり体を起こした古市の腕がズボンに伸び、カチャカチャとベルトを外す。
古市のと俺のとを並べて、古市は俺の手を自分の手と合わせてきた。


「一緒に、しよ?」

甘えたような声に下半身がさらに疼いた。







「あ、ぁ………あっ、は、ぁ…」
「つっ…………ぅぁ」

二人の手を重ねて互いの物を擦り合わせ、旋律的に上下に動かす。
気持ち良い。
それしか言葉に出来ないくらい古市が今、自分に触っているのだと思うだけでヤバイ。

「ふ、ぁ…………も、出そっ」
「俺も………早ぇけど無理。気持ち良すぎ…………っ、ぁ」

ビクン、と体を揺らして白濁を吐き出した。
古市に正面から腕を回すと、心臓がドクンドクンと脈打つのが聞こえた。
俺の心臓も多分古市と同じくらい早い。


「………男鹿も上脱げよ。俺だけとか不公平」
「……分かった」

バサッと着ていたシャツを床に脱ぎ捨てた。

たったそれだけ。

たったそれだけなのに、全身に鳥肌が立つほど格好良くて目を奪われる。
汗ばんだ肌に黒髪が張り付き男の色気を感じさせられる。


「…………古市?」
「………なんで同じ男なのにこんな違うんだ」
「?」

「……格好良いって言ってる」


気まずくて視線を反らしていると視界が反転して、気がついたら押し倒されていた。
男鹿を見ると、顔を赤く染めて耐えるように口を真一文字に結んでいる。
色気を含んだ熱い視線と自身の視線を絡ませれば、男鹿は正面から欲求をぶつけてきた。



「抱きたい」


と。

拒否するわけがないのに。
大体それをするために部屋まで連れて来たくせに、この張り詰めた段階でも確認を取ってくれる。
愛されてるなぁ、と笑って男鹿の顔を引き寄せて唇を合わせた。


「抱いて欲しい」


「……………ん」
「ひ、あ………ぅ」

耳の中に舌がざらりと入ってきて耳朶を甘く食む。


「ちょっと待ってろ、ローション取ってくっから」
「………っ、なんでそんなの持ってんだよ」

「古市とこうなったときのために?あ、でもゴムは忘れたからいいか?」
「……………いい、けど」


やっぱ準備してたってことは………俺でそういう想像をしたこともあるわけで…………
しかもそれをオカズに…………?
嬉しいような、恥ずかしいような………ヤバイヤバイなんか絶対顔赤い……!

男鹿を見上げるとローションの瓶を持って蓋を開けていた。


「ズボンも下ろすぞ」
「あ、……………」

ズボンを足から引き抜かれ、古市の真っ白な足が月明かりに照らし出される。
いや、足だけでなく古市は今何も身に付けておらず、乱れるシーツをバックに綺麗に銀髪が映えた。

「ぅ、ん………ぁ」
さらけ出された古市の太股に舌を這わせていく。

「古市、最初は慣れねぇと思うから痛ぇけど、我慢出来るな?」
「大丈夫、だから…………いい、よ?」

「……なるべく優しくしてやる」


髪を撫でてくれた男鹿は、内心全然大丈夫じゃない俺を優しく、落ち着かせるように笑った。
格好良すぎるだろ………
胸が締め付けられるほどに俺は男鹿が好きなんだと叫びたい。


「ひゃっ……冷たっ」

冷えたローションが肌に触れた。
少しやりにくそうに見える男鹿のために膝を立てて足を開いてやる。
顔を染めて驚いた男鹿は小さく、サンキュ、と言うと指にローションを絡ませた。

男鹿が指をグ、と押し込むのが分かる。
感じたことのない圧迫感と指が中で動く気持ち悪い感覚。


「つっ…………ぅ………」
「息吐いて、力抜け」
「…………っは」

男鹿の長い指が古市の中に全部収まり、一先ず息をつくと直ぐに抜き差しを始めて指を動かす。
それが堪らなく気持ち悪い。
すっかり萎えてしまった古市のものを男鹿が抜いてくれるが、違和感のほうがでかい。


「う、…………っ」
「指二本目入れるぞ」
「ぁ…………ふ、ぅ」

二本の指が抜き差しされ、何かを探すようにグチュグチュとかき混ぜる。
男鹿が探しているのは前立腺だろうが…………それまでこれを耐えなければいけない。
大分慣れてきたとはいえ、圧迫感は消えない。


「あ、……………や、あっ、あ」
「ここか?」
「分かんなっ…………何かソコ、いやだ………っあ!」

グリグリと見つけたしこりを指で軽く引っ掻くと古市の腰がしなる。
身を震わして快感に耐えているのが見て取れた。
萎えていたものも勃ち上がり、液を溢していて、古市のいっそう甘い声が上がる。

「や、あ………、あ、ぁあっ」
「痛いか?」
「痛く、ないけど…………っひ、あ」

三本に増やしても問題なく呑み込んだ古市の孔後の内壁はひくひくと指を締め付ける。
ローションを足して滑りを増させて指の抜き差しを繰り返して前立腺を中心に攻め立てた。

「っぅあ、ん………あっ」
「古市声可愛すぎ…………早く入りてー………」
「……いい、よ…………あ、んぁ」
「え?」

「っ………挿れろっ………俺も早く男鹿と………繋がりたい」
「…………力、抜いとけよ」

「ぅ、っ……………く、ぁ」

指を引き抜かれ、押し入ってきたものは指とは比べ物にならないくらいの圧迫感を持って中に入ってくる。
男鹿が痛くないように、古市は深呼吸をして力を抜くが、中々思うようにいかない。

「古市………」
「は、ん……んん、ぁ」

キスすると古市の体からは余分な力が抜け、その隙に自信を一気に奥まで突き進めた。

「…………す、ご……全部入った」
「……頑張ったな」


正直痛いけど、男鹿は多分動きたいの我慢してる、よな。
俺が馴染むまで我慢するんだろうけど………逆に俺が我慢出来ない。

男鹿と繋がっている事実が痛さよりも嬉しくて、ずっとこのままでいたいと男鹿を抱き締めた。


「もう………ずっと一緒にいたい」
「………いたいじゃねぇ、ずっと一緒にいるんだよ」


「ん…………、あ」
「…………すまん、やっぱ我慢出来ねぇ」
「ははっ………そっか、俺も………出来ない」


だから動いていいよ。


そう言ったと同時に男鹿が腰を揺らすと、ローションが混ぜられる卑猥な水音が立つ。
皮膚がひきつる痛みに耐えながら男鹿に身を任せる。


「あっ………、あぁ……んっ」
「ごめん古市………っ痛い、よな」
「は、ぁ…………っ、俺は大丈夫だって……ぅあ、言っただろ……?」


そんなこと言われても自分だけ気持ち良くて古市が良くない、なんて良いわけがない。
古市……………を気持ち良くさせねーと。

アソコ、何処だっけ? 古市が一番喘いだところ……確かもっと奥……
腰をさらに奥に振って自身を沈めてみる。


「ひ、ああ……っ………そこ、ヤバっ……ぁ……あぅ、あ」
「あった…………ここ気持ち良い?」
「き、聞くなよ………あ、ぁっは、ん」

同じように繰り返し腰を動かしていると最初はローションを使っていても動きづらかったのに、今は境目が溶け合っているように動きやすい。
古市の目には生理的な涙が浮かんでいて、声からは甘い喚声が漏れて、耳を侵食する。


「ふ、あっ…………おがぁ……ん」
「古市、古市…………っ」
「あ、あぅ………は、ああ」

必死にしがみついてくる古市が可愛くて、愛しくて、流れる涙を拭ってやって柔らかくキスしてやる。


好きだ


そう呟くと、古市は声を上擦らせながら男鹿の背に回していた腕を後頭部に持っていき、唇が触れ合う距離まで近付けた。



俺は愛してる



と、悪戯に笑ってみせた。

「バーカ、俺もだっつの」



愛してる



と呟いて激しく腰を突いた。


「は、あ!あっ……んっ…あ、ああっ」
「古市…………っ」

肌と肌が打ち付けられる音と接合部の卑猥な音と、古市の一際甘い声に混ざって絶頂を迎えた。









「男鹿…………なにしてんの」
「後始末。拭いてやってんだろ」

ティッシュで綺麗に汗と、二人が吐き出したものを拭いとっていく。

「男鹿……………修行戻るんだろ?」
「あぁ。お前はどうすんだ?一緒に来るか」

最中にずっと一緒だと言ったのだから来るのかと思っていたが……
古市は寝ていた体を起こして男鹿の隣に行き、肩に頭を預けて静かに首を横に振った。


「行かねぇ。……ちゃんとお前だけ想ってるから、次帰ってくるときは真っ先に俺のとこに帰ってこい」
「………分かった」
「あと、邦枝先輩に謝っといてくんね?色々言っちまったから。ごめんなさいって」


男鹿はコク、と頷くと古市の肩に腕を回して強く引き寄せた。
離れたくないとでも言うように。
そんな気持ちを察した古市は男鹿に抱き付いてちゅ、と音を立てて唇を食んだ。
甘い感覚に男鹿がぼーっと酔いしれていたら古市から満面の笑みを送られた。


「帰ってきたらまた言ってやるから、早く帰ってこいよ?」
「本当にもっかい言うんだな」

「魔王に誓って言う」
「……じゃ、そろそろ行ってくる」

脱いでいた服を着て男鹿がアランドロンを呼ぶとすぐに姿を見せ、体を開いた。
(変な意味じゃない)


「絶っ対!浮気すんなよ!」
「しないって!早く行っ、ん」

一瞬だけ触れ合った唇を名残惜しげに離した。


「じゃーな」

もう一度古市からの『愛してる』を聞きたい。

アランドロンの中でそんなことを思った。




一方古市は男鹿がいなくなった方を見つめて顔を赤く染めて呟いた。

「誰も一回しか言わねぇとか言ってねーし…………馬鹿男鹿」

何回でも言ってやるから早く帰ってこい。




「…………愛してる」

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