焔王を探そうと行き着いたのがネトゲで、居場所を教えてもらうためにはゲームに勝たなければいけない。
焔王とゲーム勝負を始めて二日目。
中々勝てない勝負に作戦を立てる兼睡眠休憩を取ろうと焔王側にメールを送るとすぐに返信が来た。

『余もちょうど眠たくなっとったところじゃからの。良いぞ、続きは明日朝からじゃ』

皆ゲーム疲れでくたくただ。 食べ物の買い出しは烈怒帝瑠の人達が引き受けてくれ、男子は一先ず部屋の一時的な掃除だ。
古市は晩御飯は女の子の手料理かもしれないっ、と期待に胸を膨らませながら手早く片付けを進めていく。
そんな古市を眺めていた神崎は古市にふと聞いた。


「お前めちゃめちゃ手慣れてんな」

「へ?何がですか」
「掃除すんの何かスゲェ慣れてる。男のくせに」
「男のくせにってなんですか………。俺、普段から男鹿の部屋片付けたりしてるんス。アイツいくら人が綺麗にしてもすぐ汚すし…………。
今じゃ本人より俺のが部屋の物の配置理解してますよ」


はは、軽く笑う古市に姫川はお前は男鹿の母親か、と突っ込みたくなる。
だがそんなことをするのが習慣なくらい二人の仲は良いんだろう。


最初、古市は男鹿の舎弟とか下僕かと思っていたが最近はその認識を改めさせられた。
古市は男鹿が心を許せる数少ない人間の中の一人なのだ。
だから男鹿は俺がヨメと古市を一緒に拐ったとき、ヨメが拐われたことよりもダチの古市が拐われたことの方にキレていた。


「なんつーかまぁ…………美しき友情にしちゃ行き過ぎてる感もときどきあるけどな」
「そうだよねぇ。古市君と男鹿ちゃんの距離ってめちゃくちゃ近いよね。あ、身体的意味もそうなんだけど精神面の方も」
「そんなことないですよ?普通です」
「でもよぉ…………俺、お前等がデキてるっつー話聞いたぜ?」
「あはは、神埼先輩何言ってんすか。俺女の子大好きなのにあり得ないですよ」


そう言っている間に部屋は古市の手によって綺麗に片付けられた。
彼女としてならごみの袋をきちんと分別している点もポイントが高い。
………実際誰の彼女でもなく、ましてや男なのだが。

あとは女子の帰りを待って夕飯を食べるだけですね、と掃除を終わった達成感でふんわりと笑いかけてきた古市に皆不自然な胸の高鳴りを感じた。


古市を初めて可愛いと思ってしまったのだ。
古市の顔はかなり整っていて所謂美形という奴だが、普段が残念なだけにキモいという印象が強い。
皆、誰もがときめくような顔で笑う古市に、黙ってればモテるだろうに…………と溜め息をつく。

?を浮かべて小首を傾げてくる古市に誤魔化すように夏目が口を開いた。


「そ、そういえば古市君と東条って仲良いの?」
「………何でですか?」
「ここ最近、『男鹿の腰巾着が東条のもんになった』って噂が流れてたからさー。これって古市君のことでしょ?」
「古市マジか」
「何だ、東条に乗り換えたのか?」
「そういうんじゃないっすよ。東条さんは親切で絡まれる俺を男鹿がいない間守ってくれてるだけで……」

ふぅん?と夏目は口元に笑みを浮かべる。
別に嘘は言ってない。 でも、夏目先輩に見られると全て見透かされているような気がするのは何故なんだろう。
夏目と古市が互いに見合っていると神埼が思い出したように男鹿の名前を出した。


「男鹿は修行とか言ってたがよ、何でテメェは付いてかなかったんだ」
「確かに。いっつも一緒に居んじゃねーか。しかも今回は男鹿と邦枝二人で、なんだろ?」
「古市君、何で二人で行かせちゃったの?」

真正面から聞かれて一瞬固まったが、少し迷い、素直に今に至る経緯を話してみようと思った。


「…………置いていかれたんです。いや、だからどうしたって感じですけど…………、俺の知らないとこで色々話が進んでて」

知ってたら二人で行かせるわけないでしょう?と苦笑する。
夏目は古市から何を感じ取ったのか慰めるように頭を緩く撫でてきた。


「ま、二人っきりでも大丈夫なんじゃない?」
「そーそー、男鹿はそーいうのには疎そうだし、二人がどうにかなる可能性なんか皆無だろ」
「そうかぁ?意外と男鹿の奴だって邦枝に本気で迫られりゃもしかして…………っと冗談だっつの!」

姫川に、余計なこと言ってんじゃねぇよと睨まれた。
なんだかんだ言って皆この後輩が可愛いのだ。
だから先輩らしく後輩が沈んでいるときには慰めてやりたいし、力になってやりたい。

正直、男鹿が居ないのなら自分達が代わりに守ってやろうか、と言ってやりたいところだが東条が既にそのポジションを取ってしまったなら引き下がるしかない。
東条以上に安心して任せられる奴はいないからだ。


「気を遣ってくれてありがとうございます。でも俺大丈夫ですから」
「……そっか」


「ご飯買ってきたわよー!」
「ついでに酒も買ってきたっすよ!!」


買い物組が帰ってきて古市は花澤にさすがにお酒はまずいですから、と没収した。
さっきとは打って変わってにへにへとだらしない笑みを浮かべる古市に男子はまた溜め息をついた。



「なんで女子が相手だとああなんだ」
「あはは勿体無いよねー」
「ま、でもいんじゃね?俺達だけが知ってりゃ」
「なになに?姫ちゃんそれって独占欲?」
「ちげーよ!」

「さすがモサヌメ姫川」
「んだとゴラァ!!!」
「やんのかコラァっ!!」


喧嘩し始めた二人を尻目に古市は女子と会話を進めていく。
もちろん鬱陶しがられてはいるが。

「とにかく俺達は男鹿と邦枝先輩が帰ってくるまでに勝ちましょう?」




早くこの問題を解決して男鹿に会いたい。


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古市総受け?wwwなのかなこれはwww楽しかったww
次は男鹿古がやっと再会です。
8話にしてようやく………!!!


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