俺は男鹿が好き。
このままいけば俺はお前を裏切ることになる。
「つか何年も好きなんだから今更他なんか目に入ったら駄目だろ…………」
部屋に居てもしょうがないし、ぶらついてくるか。
気も紛れるだろう。
「………………」
普通優しくされてキスしたくらいじゃ一日二日で惚れたりしない。
自分で言うのもなんだけど俺はそんな簡単な奴じゃない。
東条は利用しただけだ。 気を紛らわしたかったから『抱け』と言ったしキスした。
…………結局抱いてはくれなかったけど。
体を重ねるなんて別に好きじゃなくても出来る。 後悔したとしても俺の問題。
東条が俺を好きなのは知ってるし断らないと思ってたのに、現実は上手くいかないもんだ。
「何で優しくすんだよ………」
ちょっと男鹿に似てるくらいで揺らいでちゃ世話ねぇよ。
いや、
男鹿に似てるから俺は………
「あっれぇ?お前男鹿といつも一緒にいる奴じゃねーか」
「えっ?」
呼ばれて振り返るといかにもな感じの不良が数人。
頬を汗が伝う。
ヤバイ。
逃げないと……………!
「あ、あのなんのこと言ってんだか分かりませんからっ、これで失礼しまっ」
「逃がすかよ」
腕を掴まれ逃げられない。 本気でヤバイ。
痛いのは嫌だっ……!!
「や、嫌っ………本当離しっ……!!」
「ばぁかっ!お前は男鹿呼ぶ餌だっつの!!逃がすわけねぇだろ!!」
今までこんなこと腐るほどあったし殴られた経験なんか死ぬほどある。
でもいつもは男鹿が助けに来てくれると信じていたからこそ耐えられた。
今日は、来ない。
「観念するんだなぁっ!!恨むなら男鹿を恨むこった!」
「男鹿っ……………」
振り上げられた拳にギュッと目を強く瞑った。
「らああああああああっ!!!!!」
「……………っ?」
自分の前に出来た影に目を開けるとさっきまで拉致ろうとしていた連中は倒れていた。
視界に映る広い背中。
「大丈夫か?」
「………と、じょ……さん」
まただ。
駄目。
俺は男鹿が好きなんだって。
小刻みに震える古市を東条の大きな手が撫でる。
「怖かったのか」
怖い? 怖かったよ。
殴られんのなんか誰だって嫌だし殴られた経験が多少あっても痛いのはいつだって変わらない。
だから男鹿が喧嘩してるときも後ろの方で離れて見てるだけ。
男鹿が喧嘩してるとこなんか何百回も見てきたけど、今まで一度だって喧嘩を楽しむ男鹿の気持ちは分からなかった。
だから男鹿と同じように喧嘩を楽しめる東条に少し嫉妬してた。
喧嘩が好きで、強くて優しくて。
男鹿に似てる。
嫉妬してしまうくらい、俺より男鹿の気持ちを理解できている東条を嫌えばいいのに、逆に泣きたくなるんだ。
多分それは男鹿と似てると言っても決定的に違う部分があるから。
東条は俺をなじったり、殴ったりしない。
常に優しい。
男鹿は俺のことが好きだからって変に優しかったり気を遣ったりしない。
確かに周りからは特別なポジションにいると思われてるかもしれないけど、それは幼馴染みだから。
で、男鹿は俺達の今の状態がベストだと思ってるっぽい。 俺も今みたいにド突いたりド突かれたりするのが楽しい。
…………その反面、優しくして欲しいと思う。
今でもときどき優しいけど…………それは他の人にだってそうだ。
俺はもっと男鹿にとっての『特別』を感じたいんだよ。
誰かの『特別』になることは中々出来ない。
だけど俺を男鹿が『特別』にしてくれる前に東条が現れた。
男鹿に似た東条は俺に優しくて、好きだと言ってくれて。
『特別』だとそう思わせてくれる。
「東条さん」
「ん?」
「助けて頂いてありがとうございました。怪我もないしもう大丈夫です」
「おぅ、良かった良かった!」
「………帰ってもう寝ます」
「気をつけて帰れよ」
そんな風に触るな。
俺を惑わせないでくれ。
自分が撒いた種だけにそんなこと言えない。
東条に触れられた部分が静かに熱を帯びていて
離れるのが恋しいなんて
そんなこと許されない。
「………………さよなら」
「おお!じゃあな!」
耳にこだます東条の声。
男鹿が好きな気持ちは変わらないのに、東条への感情が掻き乱れていて。
「ぐちゃぐちゃだ、俺…………」
誰もいない自分の部屋のベッドに倒れるように寝たが目を覚ましたとき、目の前にはラミアがいた。
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今更ですが本編との時間軸のズレは気にしない方向でお願いします・・・・・
古市がぐちゃぐちゃ考えてなんかもう・・・・・・って感じ;
まだまだ続きます
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