「失せろ。もはや貴様に用はない」
「あ?」
「貴様程度いつでも殺せると言ってるのだ。まずは侍女悪魔、その次はあの紋章使いだ」
「…………」
ヘカドスの言葉にムカついた。
男鹿なんか眼中にねーってか…?
男鹿が負けるわけねーだろ。 昔からアイツは俺の見てる前じゃ負けない。
格好付けだから負けたくねーんだよ。
……………東条のときはさすがにビビったけど。 まさか負けるとは思わなかったし。
結果的には二回目勝ったけど、やっぱあのときはショックだったよな…………
でも今回は勝つ。 だってアイツが一度負けた相手なのに俺に、男鹿だけを見てろっつったんだ。
負けるわけねぇだろ?
男鹿とヘカドスが向き合うと同時にヘカドスから黒い何かが吹き出した。
古市やラミアがいる離れた場所までそれは伸びてくる。
アランドロン曰くこれは魔力の大きさを表しているようだ。
「ちょっと!アイツ大丈夫なんでしょうね!?」
「大丈夫だってラミア、男鹿は勝つよ。顔見りゃ分かる」
心配そうな顔をするラミアの頭を撫でて優しく笑いかける。
顔を赤く染め、古市から顔を背けて、どこからくる自信よっ、と古市を一蹴した。
あーもう!コイツ本当顔だけはいいんだから!!
「ラ、ラミア!」
「なによっ、べ、別にあんたの顔にときめいたとかそんなんじゃないんだからっ!!」
「はぁ?そうじゃなくてアレ!!」
古市の指差す方向を見るとヘカドスの胸の辺りにゼブルスペルが浮かび上がっている。
おそらく男鹿が修行で会得した技だろう。
男鹿が腕を振り上げる。 腕を振り上げたらもうすることは一つ、殴るのだ。
「らぁぁあああああ!!!!」
「っっ!」
入った。見事に入った。
男鹿の殺人パンチが連打され、ヘカドスが爆発した。
「…………っっ!!!」
ゼブルエンブレム。
「な、なんつー恐ろしい………」
男鹿のやつマジでマジメに修行してきやがった………!!
強い……………あーやべぇまじ強ぇよ、男鹿。
もう人間じゃねーよ。
「…………かっこいいじゃねーか」
「……………」
「いやっ違うラミア!!今のは別にそうじゃなくて!ほら!べる坊が格好良いなって!!!」
「ふーん」
ヘカドスを倒して近づいてくる男鹿に誤魔化すように駆け寄った。
熱い顔に知らない振りをして色々テキトウなことを喋る。
ラミアも今回の男鹿の成長にはツンデレらしい褒め言葉を送っていた。
邦枝先輩と一緒に帰ってきていないことに内心ほっとしながら、やはり少し気まずい。
男鹿の目はまた俺を真っ直ぐみつめていて。
何か言わなければいけないとは思うけど、思うように言葉が出てこない。
「…………っえ、………と」
「おしゃべりはそこまでだ。来るぞ」
ヒルダが切羽詰まった顔に変わった。
どうやら三人の中では一番強いらしいナーガが動いたのだ。
男鹿はナーガを見据えて問いた。
「テメェが首謀者か」
「いや……貴様を殺すことは柱師団全員の意思だ」
つまり今ここで三人を倒したとしても新たな敵がいくらでもやってくる。
本当の大将を倒さない限り終わらない。 きっと男鹿は向かってくる悪魔全員と戦う。
「オレを殺してどうする?」
「ベルゼ様を連れ帰る」
「連れ帰ってどうする?」
「どうもせん。焔王様が人間を滅ぼす。それだけだ」
淡々とした会話はどこか空気が張りつめていて緊張が走る。
ふと口元に笑みを浮かべた男鹿はナーガに言った。
「ベル坊は人間を滅ぼしたりしねーよ。なんでか解るか―――…?」
男鹿の声を静寂が包む。
「オレが親だからだ」
皆目を見開いて驚くなか男鹿だけが笑っている。
男鹿の答えに古市は妙に鼓動が速くなるのを感じて男鹿を見つめた。
というよりも目を奪われたのだ。
格好良い。
それくらいの言葉しか出てこないくらいにドキドキしていて、何故か無性に泣きたくなった。
「やっぱ……………俺は……」
男鹿が好きなんだ。
「その男、危険だ。早く摘んでおかねば…………」
ナーガから黒いものと威圧感が出る。 ヘカドスとは比べ物にならないくらいに強い魔力。
それなのに男鹿の口元にはまた笑みが浮かんでいるから、古市は男鹿なら勝てると思ってしまう。
「スーパーミルクタイムだ」
皆黙って男鹿がベル坊のミルクを作るのに刮目するが、必殺技なんだろうけど繰り出すまでに時間かかりすぎだろ。
お前その技使う度にミルク作ってたらやられちまうぞ、とツッコンでやりたい。
手慣れた手つきでミルクを作る男鹿はもう一児の父だ。
「って、お前が飲むのかよっ!!」
さっきの俺のときめき返せ!!
「アーダー、ダー、ダッ!」
男鹿がグラフェルを吹っ飛ばした。
いや、ヒルダさんが言うには男鹿の体を借りたベル坊らしいが……
なんつーか………無邪気だ。
「男鹿……………!」
ベル坊は男鹿の体を借りてさらにミルクを飲んだせいで肌が変色し、さらには羽が生えた。
強いのは強い。
ナーガさえも圧倒してしまうベル坊の魔力はやはり魔王の子だからか。
だがあのままでは男鹿はどうなるんだ。
「ニョッ」
男鹿がグラフェルに捕まった。
ナーガが何か技を溜め込むがベル坊の技によってそれも無になる。
「お、男鹿あ!!!」
爆発に巻き込まれた男鹿。 強いとはいっても所詮は人間の体なのだ。
無傷で済まされるわけがない。 運が悪ければ死んでしまう。
「…………」
爆発が治まった後は崩壊した姫川のマンションの瓦礫の下、偶然ラミアを庇う形になっていた俺をロリコンだと勘違いされた。
別にロリコンじゃないのに。
男鹿の体は一応無事で、ベル坊とももう離れていた。
それは別にいいけど
「全面戦争じゃっ!!」
これはない。 正直俺は関係ない。
なのに勝手に勘違いされまくってもう最悪。
悪魔と戦っていた東条は「ロリコン?そうなのか古市」とか言ってるし。
「なんで俺がこんな目に………っ」
「まーまー。いーじゃねーか」
「何がいいんですかぁっ……」
涙目で東条の体を両手で力いっぱい揺さぶるがそのまま古市を抱き締めた。
「俺がまた守ってやるよ」
「……………なっ」
頼むから皆がいる所ではそういうことを言わないでほしい。
「何をやっている古市、帰るぞ」
「待って下さいヒルダさん!!」
古市はヒルダの後を追った。
―――――――――――――――――――――――――――
男鹿をベッドの上にベル坊と一緒に寝させたが目を覚まさない。
かなり長い時間がたつが一向に目を醒ます気配がない。
今ヒルダはここにいないため、ベル坊を除けば男鹿と古市の二人きりだ。
「目、覚ませよアホ。お前が見とけって言うからずっと見てたんだぞ?だから……お前も俺を見ろよ」
男鹿の側に腰を下ろして誰の返事も得られないまま一人で話した。
「大した怪我じゃなくて良かった。もう頼むから心配させんな………、まだ何も話せてないのに」
お前が居なかった間のこと全部言いたい。
俺を怒れ。 お前が俺を本気で怒ってくれたらそれで十分だから。
男鹿が怒ってくれた分だけ、お前の気持ちを感じれるから。
「目を覚ましたら言うからな」
俺の気持ちも全部。
「だからお前も教えろよ………?」
一先ず今日は
「お疲れ様」
―――――――――――――――――――――――――――――――
ヘカドスと戦うとこからでした。
夢うつつで書いてたらグダグダになりました。だがしかし直す気もないww
そして出来たら次からシリアス突っ込みます!多分無理・・・・・・
年内終了無理な予感
スポンサードリンク