「…………」
最近古市がベル坊に抱っこをせがまれることが多くなった。
慣つかれてるみたいで嬉しいと満更でもなさそうに言うから邪魔も出来ない。
学校でも俺の背中にいたはずなのにいつの間にか古市の机の上にいたり、膝にいたりだ。
それが俺は楽しくない。
「ダッ!アダッァ!」
「はは、ベル坊くすぐったいって」
「…………………」
ベル坊が古市の体をよじ登って首の付け根辺りに頭をグリグリと押し付けている。
多分ベル坊も分かっているから。
古市の、鼻をくすぐる良い匂いは首周辺が一番強く香ることを。
それを知らずに古市はそのままきゅ、と抱き締めて自分の顔をベル坊の髪に埋めるため、ベル坊はより古市の匂いを堪能出来る。
「アーダっ!!」
「ベル坊最近俺に甘えすぎだぞ?お前の父ちゃん拗ねるから交代な」
「!」
ムスッとしていたのに気付かれていたらしく、古市がベル坊を渡してくる。
ベル坊が飛び付いてくると同時に古市の匂いがベル坊から伝わってきた。
「全く男鹿も子供だよなー」
「ち、違ぇーよ」
「えー、俺にベル坊取られたからこの頃ずっと機嫌悪かったんじゃねーの?」
「はぁ?全然違う」
「ダ?」
「でもさっきだって俺等見て睨んでた」
「睨んでない」
「いーや、あれは確かに羨ましそうに見てた。お前自分の子供は嫁にやらないタイプだろ」
「………ベル坊男だけど」
「女の子が生まれたらだって」
「ダァ」
………………女の子、なぁ。 古市似の子だったら男でも女でも誰にもやりたくねぇ。
俺似だったらまぁそこら辺に放っときゃ勝手に生きていくだろ。 あー絶対俺似とかやだ。
古市似の銀髪で、目がでかくてキラキラしててそんで細身で肌が白い子とか生まれたら…………絶対どこにも行かせたくねー。
そんでそんな古市似の可愛いのが俺に向かって『パパ抱っこ』とか『私将来パパのお嫁さんになるーっ』とか言ってきたら……………
「うわっベル坊………っ」
「アキャーっダァブ!!」
いつの間にか俺の背中がまた軽くなってて、古市の方を向くとまたベル坊が突進していた。
しかも古市の顔に頬擦りして古市はちょっと頬を朱に染めて嬉しそうに頬を擦り返している。
「…………ベル坊くーん、いい加減古市から離れやがれぇぇ!!」
「ダーッ!!!」
「うわっちょ、痛い痛い!!男鹿止めろ!!」
古市の髪にしがみつくベル坊を男鹿が思いきり引っ張り、毛根が悲鳴を上げる。
「ベル坊古市を離せ!!」
「ウィー!!」
「何がウィーっだ!!古市も何か言え!!」
「え、えぇ………だってベル坊小さいし……嫌じゃないし」
それに可愛いし………と。
その言葉にブッチンと血管が切れる音がしたと同時に、もう知らんっ、と男鹿がそっぽを向いてしまった。
あーぁ、本格的に拗ね始めた。
別にベル坊相手にそんな怒んなくてもいいのに。ほんと心狭い。
「ダ」
「ん?どした?」
ベル坊を見るとミルクを飲むときにしか外さないおしゃぶりを珍しく外していた。
古市が物珍しげにベル坊を眺めていると突然ちゅっと可愛らしい音を立ててほっぺにキスされた。
「!べ、ベル坊っ?」
「ダゥアイー!!」
「なっ…………!」
驚きながらもこの場にヒルダがいないことに安躇する。
もしも見られたらと思うだけで背筋が凍る。
男鹿は男鹿でこっちを見て恨めしそうにプルプルと震えていた。
「ベル坊いきなりどーしたんだ?びっくりするだろ?」
「ダゥッ!ダー」
ベル坊が自分のほっぺを指差しキラキラした目を向けてくる。
「俺にもしろって?」
「ダッ」
どうやらそのようだ。
「……………」
あー…………めっちゃ男鹿チラ見してんなぁ。
おもしれー奴…………もうちょっとくらいイジめてもいいか。
ベル坊の機嫌損ねるのも気が引けるし。
「ベールぼっ!んーっ」
「アーゥイー!」
「なっ………なっ……」
きゃっきゃとはしゃぐベル坊とは反対に男鹿の顔は蒼白し、バックにガーンという文字すら見える。
古市は気にする様子もなく、ベル坊の相手をしていると、ベル坊は至るところにキスして満足げにしていた。
古市はベル坊にされた場所を同じようにキス仕返す。
それを繰り返していたのだが……ベル坊が古市を指差した。
正しくは古市の口を。
「べ、ベル坊………口にもしたいのか?」
「アダッ」
「…………っ」
思わず息を呑んだ男鹿は古市の方に振り返った。
古市なら赤ちゃんが相手なら、ときっと口にすることもいとわないだろう。
「……………ベル坊」
何故か気まずそうにベル坊から視線を外す古市。
その視線は今俺を見つめていて。
「ごめんな………ここは」
「ダ?」
「!?」
古市が俺の服を掴み引き寄せ、体が前倒しに傾いたと思うと古市の顔が間近にあって。
唇の柔らかい感触にキスされてるのだと分かった。
すぐに離れた古市はぽけっとしている男鹿を放置してベル坊に教えてあげた。
「ここは………男鹿だけの特権だから、な?」
「ダー」
ぷーっと膨れるベル坊を撫でながら男鹿に目をやると見事に固まっている。
「………ふ、古市」
「なに」
「なななんでもねぇっ……」
真っ赤な顔を隠すように机に伏せれば古市が呆れたように言った。
「ベル坊と俺が仲良くしてて嫌だった?」
「………………」
大人しく頷く男鹿はどこか可愛くて男鹿の髪をかき混ぜてやった。
「それ、なんていうか知ってっか?」
「?」
「それは」
嫉妬っていうんだよ。
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きっさん様リクエストありがとうございました!!
「男鹿古で男鹿がベル坊にやきもち」どうでしたでしょうか^^
やっぱり男鹿古といえばこれ鉄板ネタですよねwww
素敵なリクエスト楽しかったですwww
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