耐えきれなかったんだ。
今日はヒルダさんもべる坊も魔界に帰ってるのに。
男鹿はいつもと変わんないし。
だからつい、人目のなくなった階段で抱きついてしまった。
「…………古市?」
「………………すまん」
腕を離したが離れたくなくて学ランの袖を摘む。
「上、行くぞ」
男鹿はそれを振り払わず、古市を引っ張って屋上に上がった。
堅い鉄の扉を開いて外に出ても古市は黙ったままで腕を離す気配はない。
「……しょーがねーヤツ」
「っ………ぅぶ!」
屋上に上がって直ぐ、青空の下正面から抱き締められた。
「今日どーしたんだ?」
「…………言いたくねー」
「…………古市」
答えたくないならしょうがない。俺は優しい男だからな。
代わりにキスしてやった。
「……んぅ……ん、ん」
「!」
古市は男鹿の首に腕を回し、いつもより唇を強く押し付けてくる。
もちろん男鹿はそれが嬉しかったし何より古市が可愛かった。
そしてキスしている内に分かってしまった、古市が甘えてくる訳が。
「古市………………お前なぁ」
「何…………」
「寂しかったんならそう言えっつの!」
「んなっ////」
久し振りに二人きりになれたのだ。
だから古市は自分から甘えてきた。
「俺だってお前と同じだし」
「………言ったら絶対笑われると思ったんだよ」
「っつーか、可愛いけど」
「……………ぁ、」
古市は男鹿に再度抱きつき、肩にコトンと頭を乗せると男鹿に聞こえる程度に呟いた。
「…………甘やかせよ」
男鹿が断るわけがない。
男鹿は一度コンクリートに腰を下ろして古市に両手を広げた。
「来いよ」
「言われなくても行く」
「古市君かわいー」
「し、知らん!////」
甘えることが恥ずかしく、逸らす古市の顔を両手で包んで頬に口付ける。
恥ずかしそうな顔が本当に可愛い。
「素直に甘えとけ」
「…………////」
おっ、男前に笑うなああああああああああああ////////////////
いっつもみたいにヘラヘラしとけよ!!!!優しく触るな!耳を食むなぁ!
「して欲しいことあったら言え、今なら聞いてやんぞ」
ヤバイ男鹿格好いい………!ドアップとかうわああ!!!
髪触んの超優しいし………!!
「ん?」
ボーッと見ていたら顔を覗き込まれた。
優しい男鹿は本当に久し振りで何ともいえない気持ちになる。
俺はただ顔を赤くすることしか出来ない。
「なんかねーの?」
「や、あ、…………じゃ、じゃあ………………キ、ス………もっと」
「りょーかい」
男鹿は古市の腕を掴み、口元に手を近付けると指に唇を触れさせた。
手の平にもキスをすると古市は恥ずかしそうに男鹿を見つめている。
その目にも唇を落とした。
額にも、頬にも、鼻の頭にも。
あちこちにキスする度、身を震わせる古市が可愛くて仕方がない。
「おが…………////」
「んー?」
鎖骨に顔を埋めながら返事をすればまた体が震える。
「んっ………も、いいからっ」
「分かった」
最後に唇にして離れた。
古市の顔は林檎よりも赤くなっているのではないかというくらい赤く、なんというか…………本当に溶けた表情をしている。
「…………っ」
赤くなった顔を見られることが恥ずかしくなったのか、男鹿の胸板に顔を押し付けるようにして隠した。
「あー…………もう最悪」
「甘やかしてやってんのにか、コラ」
「前はここまでしてくれたことなかった」
前というのはべる坊が来る以前の時の話だ。
中3からずっと付き合っているが、通常でこんなに優しいのは初めてかもしれない。
まぁ、夜………というか、そういうときは優しいんだけど。
「古市君がどーしても寂しいっていうからなー」
「うっさい!黙れ馬鹿!」
「古市」
「ぅっ…………」
俺が真剣な瞳を向けられては何も言えなくなることを知っているのだ、この男は。
それに甘い声に弱いことも全部。
「今日はもう帰るぞ」
「………………」
帰って何をする気だ、なんてことは聞かない。
だって、そうだろ?この状況で帰ってすることなんて決まってる。
そして俺はそれを否定しない。というか俺がしたいから。
そのことも男鹿は分かってるから俺に言ったわけで。
「………………帰る」
「ほら、手」
差し伸ばされた手を受け取らないなんて俺には出来ない。
まるでお姫さまにでもなった気分だ。
「……………はい」
静かに男鹿の手に自分の手を重ねた。
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ゆゆ様リクエストの『男鹿がこれ以上ないくらい甘やかす』でしたああああ!!!!
なんか自分ではこれちゃんと書けてるか分からないんですが!取りあえず頑張りました!
リクエストしてくださってありがとうございました*^^*
甘い男鹿古、ゆゆ様にお捧げします^^
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