次の日が休みのとき、俺と男鹿は夜に恋人同士の営みをする。
男鹿は情事中も情事後も優しい。
朝起きたときの自分の髪を触る手付きも自分を抱き締める男らしい腕も全部好きだ。
そう、好きなんだけど………
(これはねぇだろ……!)
「古市、顔赤ぇぞ。大丈夫か?」
「大丈夫だから触んな……」
クラスの皆に見つめられながら男鹿は気にすることもせずに古市の額に触れる。
二人の放つ恋人同士特有の甘い空気に周りは唖然としていた。
「…………だから嫌だったんだ」
次の日が平日のときに事に及ぶのは。
男鹿は情事中も情事後も優しい。
故に次の日学校に行かなければいけない平日にはしたくなかった。
男鹿の情事後の甘い優しさは朝起きたベッドの中だけのものではない。 ほぼ半日は続くと思っていいだろう。
つまり。
今男鹿はいつもの情事後の甘さで今クラス皆の前でフルオープンで俺に接しているということ。
「古市、でこ熱ぃ。熱あんじゃね?無理なら家まで送ってやるし……」
「い、いいからっ………俺大丈夫だし……」
「そーか?」
「お、おぅ…………つか、早く手ぇ離せ」
朝からもうずっとこうだ。
教室に入ったら男鹿は先に俺の椅子を引いて座らせてくるし、腰はどうだ、とかどっか悪いとこないか、だとか。
俺への態度が優しすぎて困る。 多分男鹿はいつも無意識だから、気付いていないのだと思う。
自分がどれだけ今俺に優しくしてるのか。
俺は男鹿に流されないようになるべくいつもと変わらない態度でいるけど、正直きつい。
男鹿に優しくされる度、寄りかかって甘えたくなる。
「古市?」
「男鹿………」
真っ黒な瞳に思わずキスしてしまいたい衝動に襲われたが、男鹿とは違い理性がそれを制する。
古市の揺れる瞳に男鹿もまた熱くなる。
「キモい」
苛立った声にビクッと古市は肩を揺らして声の発生元を見た。
「坊ちゃまも居られるというのに見苦しい。失せろバカップル」
すやすやとヒルダの腕の中で眠るべる坊は気持ち良さそうだ。
「いいなぁ………」
口から勝手に零れた言葉に男鹿が拗ねたような顔をする。
古市の顔を両手で包み、手前へと引き寄せ至近距離で呟いた。
「俺の腕の中じゃいけねーの」
「……………っ」
ぼあああっと顔が熱くなる。
どうなんだよ、と言う男鹿に古市は顔を伏せた。
「べ、別に男鹿でいい」
「だろ?」
優しく笑う口元にさらに顔が熱くなった気がした。
「貴様等は人の話を聞いておらんようだな」
ヒルダの傘が古市に刺さるまであと五秒。
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男鹿ちゃんはにゃんにゃんの最中と後は絶対ベタ甘だと信じる
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