悪魔は声高に言ったのだ。


「お前の願いを叶えてやる」


と。






「…………っ!」

いつもと同じ日常を過ごしていたはずだった。
男鹿に恨みを持った不良に囲まれ、男鹿の腰巾着と罵られながら必死に逃げる算段を立てた。
計画通りに走り出したはずだったし、いつもならこのまま上手く相手を撒いて逃げれた。
なのに、今日だけは違った。

「っは……!………これで逃げ切れりゃ……っ」

助かる……!
腕を大きく振って絡まりそうなほど足を走らせて、もう少しだった。
……………え?

「………………なっ!?」

足が一瞬何かに捕まれたように動かなかった。
その違和感は微かなものだったが確かに足は一瞬何の反応もしなかったのだ。
そのまま無様に転び、地に伏した古市にさっきの不良達が追い付く。あぁ、まずいな……
そう半分諦めて目を瞑ると、目蓋の向こうで不良達の呻き声やら叫び声やらが聞こえてくる。
目蓋を開けると目付きの悪い幼馴染みが仏頂面を下げてこっちを見下ろしていた。

「なーにやってんだよ古市」
「んなもん俺が聞きてーっつの。つかお前のせいなんだけどね……」
「こーなんの分かってんなら一人で帰んなよ」
「だってお前邦枝先輩達と喋ってたじゃん」
「一方的に捕まってただけで喋ってねーよ」
「……………お前って本当ねーわ」

あの大和撫子に迫られてるにも関わらずそれに気付く所か全くの無関心とか………マジねーわ。
邦枝先輩も趣味悪ぃよな。俺が女ならもっと気品があって優しくて顔もそこそこ良い感じの奴好きになるけど。
男鹿なんか正反対だし。顔だけは良いかもだけど。

「来てくれてサンキュな。お前のせいだけど一応助かった」
「……怪我してんぞ」

殴られたせいで切れて血が出ている唇を男鹿の武骨な指が柔く撫でる。
いつもの男鹿らしくない態度に古市は眉をしかめるが、そんなことは関係なしに他の傷も触り始めた。
男鹿の行動を一々咎めるのも面倒で放っておくと今度はぬるりとした感触に体が飛び跳ねる。

「なっ、にして……!」
「消毒だろ」
「ちがっ……うわ、わわっ」

腕の痣が男鹿に舐められ、生々しい濡れた感触に赤くなればいいのか青くなればいいのか。
男鹿は舐めるのを止めると痣に唇を付けると今度は柔く吸い付いた。

「なっ、おまああああ!!!何しやがる!!バカ野郎!!!」
「いでっ!!」

流石に驚きのあまり男鹿を突き飛ばした。
古市は怒りでそうなっているのか、照れからくるものなのか、顔を真っ赤にして叫ぶ。
痣より濃い明らかな痕を擦りながら男鹿を睨む。

「こういうのは恋人にするもんであってダチにするもんじゃねーの!!!つか何処で覚えてきた!!」
「別に何処でもいいだろ」
「よくねぇ!!ななっ舐めるとか、キスマークとかっ!お前コレ誰でも彼でもしたらセクハラだぞ!?分かってんのか!?」
「古市以外にしねーから大丈夫だろ」
「そういう問題じゃなくてええ………!!」

ブスッと分かりやすく拗ねている男鹿に古市がいくら教育的指導をしたとして、まともに聞いている訳もないのだが。

「とにかくもう二度とすんな!分かったな!」
「へいへい」
「よし!帰るか……、………え」

立とうと足に力を入れるが、足は一向に立ち上がろうとしない。
足が言うことを聞かない。なん、で?

「古市?」
「あっ、や、なんか足に力入んなくて……」
「怪我か?」
「そんなことはねーけど……っておい!!下ろせ!!!」

いきなり体を抱き上げられ暴れるが、不安定な宙のせいで腕は男鹿にしがみついている。
歩けないのだから仕方ないのかもしれないが、さすがに横抱きはないだろう。せめておぶれよ。
まぁ………多分男鹿なりに俺を気遣って?だろうけど……若干嬉しくないこともないけど。

「古市、こっち向け」
「なん……ぅおっ!顔近ぇよ!!もうちょっとで当たるとこだったじゃねーか!!」
「あー?避けんじゃねーよ。連れて帰ってやんねーぞ」
「いやいやいや!!お前とキスするくらいならここで不良にボコられる方がマシだから!!!」
「あっそ。じゃあお望み通り、ほれ」
「いだっ!」

急に手を離され地面に思いきり尻を打ち付けた。やっぱりコイツは暴れオーガ以外の何者でもない。
一瞬でも俺を気遣ってるとか思ったのがバカだった。
男鹿は上から、ほら立てないんだろ?とばかりに古市を見下し、ニヤニヤと笑っている。
何て嫌な奴だと古市は意地でも自力で帰ってやると、意気込み足に力を入れる。
すると今度はあっさりと立ててしまった。

「あ、れ……?何か……立てたわ」
「古市ぃ………俺を騙しやがったな?」
「ちがっ、違う!マジでさっきまで立てなかったんだって!」
「嘘つけ!!一発殴らせろ!!」
「ぎゃあああああ!!!」

追いかけてくる男鹿から全速力で逃げるが今度は足が止まるということはなく、家まで逃げ切れる………なんてことはなかった。
男鹿とは元々の運動能力が違う。息が絶え絶えの古市は直ぐに追い付かれ腕を捕まれた。
…俺………終わった……
そう覚悟を決めて目を閉じたが、腰を引き寄せられる感覚に目を開ける。

「ちっか……!!」

またしても近い顔に思いきり仰け反ると今度はガッチリと顔を捕まれた。

「ばっ!男鹿お前何考えてんだよ!!」
「逃げんな」
「アホか!逃げるわ!!ちょおおお!マジで冗談キツ……っ」

コンクリート塀に体を押さえつけられ逃げ場がない。
一体何だってんだよ………!どうしちまったんだ男鹿!!
目の前にはすでに三白眼を閉じて準備万端とばかりに迫ってくる男鹿がいる。
古市からしたら恐怖以外の何物でもない。

「男鹿!取り合えず一回落ち着こうぜ!なっ!?」
「やだ」
「もっ……近いっつってんだろうがああああああ!!!!」
「い゛っ―――!!!!」

今世紀最大の力で男の急所を蹴り上げてやった。俺も男だからな………その辛さはよく分かる。
本当は俺だってしたくなかった。けど、

「お前が悪ぃんだからな!バカオーガ!!」
「待て………ふる、いちっ」

うずくまったまま動かないのを良いことに古市は急いで走り去った。
そして向かった先は自宅ではなく男鹿の家だ。

「ヒルダさん!!」
「何だ。騒々しいぞ古市」
「男鹿に何かしたのヒルダさんッスよね!?早く元に戻して下さい!」

男鹿のあの変貌振りは明らかに悪魔が絡んでいるとしか思えない。
しかも古市への嫌がらせとなるならば犯人はかなり絞られてくる。
アランドロンがそんなことをする理由がないし、ラミアだってそうだ。
となると後は暇潰しと称して俺達を弄べるのはヒルダしかいないだろう。

「よく分からんが……私ではないぞ」
「え!?だってあの男鹿がですよ?あの悪魔のような男が俺を気遣うような素振り見せたり、終いにはキスしようとしてくるんですよ!?こんなことヒルダさん以外に誰がするって言うんですか!!」
「仮に私が犯人だとして………そんな面白い状況を直接見ないと思うか?」
「…………………ですよねー」

それもそうだ。
ヒルダなら間違いなく古市のたじろぐ姿をからかうためにカメラなり何なりにそれを収めるはずだ。

「しかも、だ。私が貴様等のようなドブ男が乳繰り合う所を見たいわけがないだろう」
「……全くその通りです」
「で、肝心の男鹿はどうした?」
「あんまりにもしつこいんで急所蹴って逃げてきました」
「ほう……中々やるな」
「そりゃまぁ身の危険を感じましたからね……」

疲れ果てた虚ろな目で古市は男鹿のベッドに座った。
するとその瞬間、階段を駆け上がる音がしたと思うと勢いよくドアが開けられた。
勿論男鹿の手によって。

「なっ……おまっ」
「お前のへなちょこキックなんか効かねーっつの……っ」
「その割に声が震えているぞドブ男」

当たり前だ、男の急所ってのはかなり繊細なんだぞ。
いくら俺の蹴りでも効かない訳がねぇ。なのに何で来ちまうかな。
男鹿はヒルダを素通りし、座っている古市の両肩を掴んで詰め寄った。

「俺じゃダメか」
「………いや、あの……ダメとかそういう問題じゃなくね?」
「俺よりヒルダのがいいのか」
「比べるまでもなくだろ……」
「おい、私を話に入れるな」

ヒルダに睨まれ古市はヒッと声を上げ、腹いせに男鹿を睨んだ。
真剣な目で見つめたままの男鹿をどうにかするべく、古市は取り合えず横に座らせた。

「お前は俺をどうしたいんだよ」
「俺のにしたい」

コンマ1秒で返され、古市は頭を押さえて何度目かの溜め息を吐いた。
まさかこんな台詞を男鹿から聞くことになろうとは……気色悪いことこの上ない。
お前は俺を殺す気か。

「何で俺をそうしたい?理由があるだろ?」
「ねーよ、理由なんか」
「…………あ?」
「つかヒルダ、いつまで居る気だよ。部屋出てけ………痛っ!テメッ!」

男鹿の頭をヒールで踏み潰すと、かなり不愉快そうな顔で古市に告げる。

「一応原因は調べてやるが、坊っちゃまの前で恥態を晒した瞬間その命無いと思え」
「男鹿相手にそんなことなりませんから!!変な誤解しないで下さい!!」
「ダァブ!」
「え?仕方ないから席を外してやる?まぁ坊っちゃま!こんなドブ男共のためにそのようなお心遣いを!ご立派になられましたね!ヒルダは感激です!」
「いやいやいや!ベル坊君!?誤解だからね!?男鹿お前も頷いてんじゃねぇ!!」

グッと親指を立てるベル坊はすでに準備よく男鹿とのリンクを切っている。
ヒルダに抱っこされ部屋を出ていく時も何故か親指は立てられたままだった。

「んで、話戻すけど理由がねぇって何」
「言ってる意味が分からん」

そりゃそうだ。理由がねぇ理由とか分かるわけねーよな、男鹿だし。
それに俺だってこれでもちょっと動揺してて、判断が出来ないというか思考が止まり気味なんだ。

「じゃあ、いつからそう思うようになったんだ?」
「お前が近くに居ないとき」
「俺はいつからかを聞いたんだが………まぁいいか」

つかそれって単に俺が居ないと寂しい………みたいな感じ?
え、ちょっと待てよ。でも俺が居なくても先輩達が男鹿の相手してくれてるだろうから寂しくはないだろ。
男鹿が寂しいとか気持ち悪ぃけど。
どうしたものか、と頭を唸らせていると当の男鹿は横から古市の腰を抱き寄せ、肩に頭を乗せている。

「近ぇって………」
「古市ー……」
「おいっ服に手ぇ突っ込むな!」
「嫌だ」
「ダメだって!マジで止めろ!のし掛かるな!!」

上に覆い被さる男鹿に力勝負では為す術もなくそのまま押し倒されてしまった。
まさか小学校以来のダチに押し倒される日が来ようとは。
しかも相手は本能のままに生きる獣のような男だ。このままじゃ確実に、ヤられる………!!

「古市、目ぇ閉じろ」
「いやいや!それはおかしいぞ男鹿君!一回落ち着こう!?な!」

両手で男鹿の胸を押し返すが微動だにしない。目の前でギラギラと光る黒い目に恐怖心すら浮かんでくる。
コイツは何でこんな欲情した目で俺を見てんだよ!まさか『好き』とか言わねぇよな?あり得ねぇけど。
うん、ない。絶対ない。

「お、男鹿は」
「あ?」
「俺のこと……その……好き、なわけ?」

さぁ、否定しろ男鹿!
そういうことは『好き』だからしたくなるものであって、俺を『好き』じゃないと認識出来ればお前も目を覚ますはずだ!
古市の言葉に暫く頭を捻りながら男鹿は納得したような顔で一つの答を出した。

「そーか。俺、古市が好きだったのか」
「…………………はい?」
「いやーなるほどな。通りで何か古市見てたらテンション上がると思ったわ」
「ちょちょちょっ!ちょい待ち!!え?何?まさか今言われてから気付いたみたいな?」
「おう」

う、うそだろおおおおおお!!!??何しちゃってんの俺えええええ!!!
自業自得とかすげぇ最悪!!つかこれどうしたらいいんだよ……!!

「古市」
「うお……っ」

男鹿が上から退いたかと思うと上半身を引っ張り起こされ、抱き締められた。
ぴったりと密着しTシャツの上から体温が伝わってくる。

「そうか………これが『好き』ってやつか」
「な、に」
「古市ー………好き」
「や、止めろって……」

改めて言われるとかなり恥ずかしい。
というか『好き』自体あまり言われたことがないため耐性がなく、余計に古市の羞恥心を煽る。
男鹿は新しい自分の感情を確かめるように古市の耳元で告げる。

「好き」
「っ……………」

これは……色々とヤバいかもしれない。何で俺までこんなドキドキしてんだよ、違うだろ。
男鹿を離れさせようと押すがやはりビクともしない。
背中を強く抱き締められ何となく本気で嫌がることが出来ない。
だがここで拒否出来なければ自分までそっちの道に連れ込まれてしまう。

「男鹿……一回離せって。な?」
「離したら逃げんだろ」
「逃げねーよ、馬鹿」
「嫌だ。………古市、腕回せ」

従ったら負けだと、そっちの道に引き摺り込まれると分かっているのに、何故か逆らえなかった。
男鹿が望むまま背中に腕を回し、さらに密着度が上がったような気がする。
鼓動が、熱が服越しに伝わってくる。

「…………古市」
「男鹿……?」

見上げると右手で顔の輪郭を捕えられ傾けられる。
近付いてくる顔にストップを掛けようとしたが、男鹿の真剣な目に言葉が出てこない。
何より男鹿の『好き』に当てられて胸がふわふわと落ち着かないのだ。
このまま流されてもいいんじゃないか、と。

「……っ…………」
「古市、好きだ」

唇が触れる直前。

「ほう、古市貴様満更でもなさそうだな。せっかく解決策が分かったというのにとんだ無駄足だったようだ」

ドアから聞こえてきた声に全身が硬直し、顔だけが声の主ヒルダに向いた。
男鹿は無視してキスしようとするが流石に他人に見られながらする趣味はない。

「あのヒルダさん違うんですよ……?誤解、というかですね……!」
「邪魔すんじゃねーよ、ヒルダ」
「お前は黙れ!」

まるでゴミでも見るかのような視線に冷や汗がだらだらと流れ落ちる。
この有無を言わせない迫力の前では古市もろくに弁解することも出来ず、話を聞くことになった。
勿論張り付いて離れない男鹿を切り離してからだ。

「まず、最近貴様等に悪魔の気配がないか調べてみた所、面白いことが分かってな」
「……何ですか?」
「……古市、最近夢を見なかったか」
「夢?さぁ……水着ギャルときゃっきゃうふふした夢くらいしか……」
「「キモいな」」

綺麗にハモった二人の声にちくしょおおおお!!と頭を抱える古市に冷ややかな視線を送ると、ヒルダは改めて尋ねた。

「本当に心当たりはないか?例えば夢の中で願いを聞かれたとか、そういう類いの………」
「願い………?」

なんだ?何か頭に引っ掛かるような………あれ?
なんだっけ………夢で何があったんだ?思い出せるような気がするのに出てこない。
険しい顔をしながら考えている最中、ヒルダは告げた。

「貴様は多分夢で悪魔に遭遇している」
「え……」
「そこで何かあったはずだ。思い出せ。思い出すことが出来ればソイツはその中から出ていく筈だ」

ヒルダに指差され思考が一瞬止まった。え。その中?って、俺?
だってそれは俺の中に現在進行形で悪魔が巣食ってるってことじゃないか。
そんなバカな。冗談だろ、と視線を送ると正面から見つめ返され本当のことだと知る。

「最近身近で変わったことはないか?」
「……特には…………、っ!」

いや、変わったことならあった。あの体の違和感。
もし悪魔の仕業だったとしたら?

「体がたまに動かない時があるんです。足の爪先とかなんですけど……」
「やはりな。古市、かなりヤバい状態だということは分かるか?このままだとその内全身が硬直し、死ぬぞ」
「は?」

『死ぬ』という言葉に先に反応したのは男鹿だった。
今まで二人の話をよく分からないまま、黙って聞いていた男鹿も流石に口を開いていた。
そんなバカな、とヒルダを睨む。そして古市の肩を強く抱き寄せて殺気丸出しで低く唸った。

「ふざけんな。古市は誰にも殺させねぇし、ソイツが悪魔だろうが関係ねぇ。絶対ブチ殺す」
「…男鹿……」
「馬鹿が、別に必ず死ぬ訳ではない。古市が悪魔とした契約を思い出せばソイツは古市から出てくる。その時契約を破棄すればいい話だ」
「………………」

そう聞いても男鹿に湧き上がった気持ちが静まる様子はなく、不安げに見つめると何故か男鹿の方が不安そうな顔をしていた。
だからか、肩を抱く腕を振り払うことも出来ずに大人しく腕の中に収まってしまっている。
失いたくないと言われているようで少し嬉しくもあったから。

「……今すぐ離れぬなら殺すぞ」
「はっはいいい!!!」

反射的に腕を突っぱねると意外にもあっさりと腕から解放される。
男鹿を見るとフィ、と拗ねたように反対側を向いて横になってしまった。
何となくその姿が可愛くて案外柔らかい癖のある猫っ毛を撫でていると視線をチラチラと向けてくる。
あぁ、そうか。俺は男鹿が俺を見てくれてるのが嬉しいんだ。
そう思った瞬間、脳裏に何かが流れ込んできた。


『お前の願いを叶えてやる』


悪魔が声高に宣言したことを。そして俺は答えたんだ。


『そうだなー………あんま願いとかねーけど……、一個だけそうなればいいって思うやつはあるかな』


「『男鹿に俺を見て欲しい』」

「…………いきなり気持ち悪いことを言うな」
「古市?」

不審がる二人にそれはそうだろうな、と納得する。
俺だって自分で言っときながらなんつーハズいこと願ってんだって思う。
それでも俺はそれを願ったんだ。多分寂しかったから、少しでも前みたいに二人で一緒に居られたらって。

「俺が悪魔にした願い事、です」
「……結局貴様も男鹿が好きだったということか?趣味が悪い者同士お似合いだな」
「……そーいうことは早く言えよバカ古市」

ドン引きしているヒルダに、若干照れながら嬉しそうな男鹿。あぁ、うんまぁそうなるよね。
勿論男鹿達が思っているような意味で願ったわけではないし、そんな気はない。ただ純粋にそう思っただけ。
そしてこの男鹿の状態が悪魔のせいなのだとしたら、早く元に戻してやらないと些か可哀想だ。

「契約破棄したいからさ、そろそろ俺から出てってくんね?」
『……………仕方ないな』

頭の中に声が響いたかと思うと体から何かが抜け出していく感覚と一緒に力が抜ける。
あ、やっぱ何か入ってるってマジだったんだ。
もっとグロい感じの姿だと思っていたが、予想に反して出てきた悪魔は小学生のような見た目をしている。

「あーあ、せっかくお願い叶えてやったのに」
「夢の中の言葉本気で取るなよ!」
「あんな熱い眼で言われたら本気としか取れないだろ?もうちょっとでその体俺のモンだったのになー」
「……とにかく、契約は破棄で。あと男鹿、睨むの止めろ。そんでくっ付くな」

男鹿の頭を掴んで離そうとするが今度は離れず、余計しがみついてくる。
その様子を見ていた悪魔が口角を上げて含むように笑った。
笑ってる場合じゃねーから、これお前のせいだから。
内心でそう突っ込んだ古市を読めたのか、悪魔は首を振って更に笑みを深くした。

「契約を破棄したとしてもソイツは遅かれ早かれそうなるぞ」

―――――――――――

②に続く
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