木の下に見慣れた赤いチャイナ服が見え、気が付けば俺は誘われるように近付いていた。
日影にすっぽり収まった華奢な体は規則的に息を吐いて眠っている。
「………なんでィ、寝てやがんのか」
神楽の顔を覗き込み、退屈しのぎが出来ないと分かった時点で帰れば良かったのに、沖田は横に腰を下ろした。
気持ち良さそうに眠る神楽を前に、いつもならチャンスとばかりに嫌がらせする所だが今日は何故かそんな気にならない。
風でさらさらと流れる髪に手を伸ばす。
「…………死んでるみてぇ」
影に居るからか白い肌が普段よりさらに白く見える。
閉ざされた目蓋は綺麗で、薄く開いた口元も柔らかそうだ。
「…一応女……だもんなァ」
『一応は余計アル!!』と起きていたなら殴りかかってきたのだろうが、今は何を言っても聞こえない。
見た限り熟睡しているようだし、あの規格外にデカい犬も居ない。
神楽の髪を指先で弄りながら、時たま頭を撫でる。
「口開かなけりゃ上等な顔してんのに勿体ねぇ」
「………………ん…」
「!」
手を離し俺は何もしていないとばかりに両手を上げる。
だが神楽は首を傾けただけで起きるような気配はない。
ほっと胸を撫で下ろすと再び手を伸ばし、今度は柔らかい頬を指でつつく。
「……熟睡し過ぎだろィ。こんな無防備じゃ寝首かかれても文句言えねぇでさァ」
大胆に手の平で頬に触れながら自分の手と比べ、神楽の顔の小ささに驚いた。
そういえばまだ14歳だっただろうかと思い出し、舌打ちする。
「4つも年下のクソガキ相手に何やってんでィ」
そう悪態をついても自分がこの少女に心惹かれているのはもう隠せない所まで来ている。
とは言っても神楽との仲が進展することは勿論ない。
まともな恋愛経験が皆無なのが一番の理由だが、そもそも本人達の間に恋愛としての色気が存在しないのだ。
そして神楽に『恋愛』という観念があるのかすら謎である。
「……………告白したらどんな反応すんだろな」
「……………………」
ピクリ、と睫毛が震えたのを沖田は見逃さなかった。心なしか顔が若干色付いている。
沖田は目を見開いて固まり、そっと触れていたままの手を戻した。
これは、確定だ。じわじわと体温が上昇し、顔に熱が集まるのを片手で覆う。
「てめぇ………起きてんじゃねぇか……」
「…………………」
「寝たフリはもういいでさァ」
「………………」
無言のままひたすらしらばっくれる神楽を横に、沖田は溜め息を吐いてどうしようもない感情を溢した。
「オメーは迷惑かもしんねぇけど、仕方ねぇだろィ?好きになっちまったもんは」
「………………」
「大体起きた時点で声掛けろっつの………空気読めよ」
「……………」
寝たフリを続ける神楽に照れ隠しを含めて舌打ちをする。それ以外に何も出来ないのだ。
ここで取り繕っても格好悪いだけであるし、逆に開き直って口説くのもキャラじゃない。
それよりはストレートに自分の発言を肯定する方がいくらかマシだ。
だがしかし、流石に恥を忍んだ告白も寝たフリで無かったことにされるのは気にくわない。
沖田は神楽に再び触れて言った。
「………起きねーならキスしちまいやすぜィ?」
「………!」
肩がビクッと揺れたことに口の両端が吊り上がる。
あと少しで観念するだろうとさらに神楽に近寄ると、それが分かったのか顔がさっきより赤くなっている。
「キス、されたくねぇなら起きる方が賢明だと思いやすが」
「……………」
神楽の反応はやはりない。これはしてもいいという合図なのか、それとも罠なのか。
しようとした瞬間ぶっ飛ばされそうになるんじゃないのか。
色々可能性を考えてみるが、もしかしたらと淡い期待をしてしまう自分がいる。
そしてその期待に賭けてみてもいいんじゃないかと思った。
「オメーが悪ぃんだからな」
神楽の頭を包むように手を添え、身をゆっくりと屈ませて若干震えている神楽に優しく唇を落とした。
そして口を離して一言。
「……………バーカ」
それだけ言うと立ち上がり、口元を押さえながら来た道を帰っていく。
赤く染まった顔を誰にも見られないように、緩んだ口元を知られないように。
誰も居なくなった木の下で漸く目を開け、小さく呟いた。
「……バカはどっちアルか、ヘタレサドやろー」
沖田の唇が触れた額を押さえ、火照る体に気付かぬ振りをして悪態を吐く。
「どうせするなら口にしろヨ……、バーカ」
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青春な沖→←神を目指してみました。
劇場版に触発されて初めて沖神書きましたが・・・・私にNLは難産でした
こいつNLも書けたんか、くらいに思ってやってください。
でも本当スクリーンの沖田さんと神楽ちゃんの共闘がやばすぎて死ぬかと思いました。
土銀も然り。取りあえず二回じゃ足りないので三回目行きたいけど交通費が憎い。
高杉さまあああああって叫びたい。
本当は感想とかガッツリ書きたいんですが、あれはもう見てくださいって感じです。
やっぱり銀魂っていいな、と改めて思いました。
シリアスもギャグの入れ方がすごく空知先生だった。最高でした。
おがふるはもう少しかかりそうです^^;
ごめんなさい。
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