今日も黄瀬君は青峰君の側をストーカーの如く付きまとっていた。
「黄瀬君は本当に青峰君が好きですね」
「え」
「違うんですか?」
「や、あの……………」
黒子が黄瀬の顔を覗きこむと整った顔は赤く染まっている。
黄瀬は周囲をキョロキョロと見回したあと黒子に身を乗りだし、手を掴んだ。
「俺、青峰っちのことす、すすす好きなんスけどっ………、やっぱ分かりやすいっスか!?」
分かりやすいもなにも普段あれだけ(見ていて鬱陶しいくらいに)ベタベタしていれば誰だって分かるだろう。
目から光線なんてものじゃない。黄瀬の場合は全身からラブ光線が放射されているのだから。
もしかしてあれでバレていないつもりだったのだろうか。
「黄瀬君、青峰君のことは恋愛対象として好きなんですよね」
「う、ん………」
「気持ちはまだ伝えていないんですか」
「…………そんな勇気ないっす」
ショボくれる黄瀬に、おそらく青峰自身も気付いていると思う、など言えない。
言ったらもう彼は羞恥心で部活に顔を出さなくなるかもしれない。
部のためにも、彼のためにも余計な口は挟まないでおこうと思ったのに。
黄瀬は自ら喋り始めた。
「青峰っちってめちゃくちゃ格好いいじゃないスか」
「はぁ……………」
「背高いし、色黒でもうめちゃくちゃ男って感じのとこが堪んないっつーか………バスケしてるとことか最高過ぎて鼻血吹けるっつか」
「気持ち悪いですね」
「それに汗かいてるとこもマジカッケーし、1on1のときとか至近距離であの汗が散るの見えてもうエロすぎ………!」
ドン引きな黒子を他所に黄瀬はどんどん勝手に盛り上がっていく。
タンクトップから覗く胸板や跳んだときに捲れて見えるよく割れた腹筋。
恍惚とした表情で語る黄瀬に黒子は若干の距離を取って聞き流す。
「って黒子っち聞いてる?」
「聞いてないですけど」
というか聞きたくないです。
「黒子っちのそんなつれないトコもス・キっ」
がばぁっと抱きつくと非常に鬱陶しそうな顔で鬱陶しそうに全力で押し返される。
別に黒子が黄瀬を嫌いなわけではく、所謂日常風景というヤツだ。
黄瀬の人懐こい性格もどちらかといえば好きな方だし、羨ましくもある。
そして苛めてて物凄く愉しい。
「暑苦しいので離れて下さい。ウザいです」
「う、ウザッ………!?ウザくないっス!」
「………………」
必死の表情で肩を力強く掴まれ、しかもかなりの近距離でこんな状態だ。
見る角度によってはキスしているように見えなくもない………というより見えてしまうだろう。
そして絶妙のタイミングで黄瀬の想い人と遭遇した。
「あ。青峰君」
「えっ、ホントだ!青峰っち!こんなとこで何してんスか?」
いつもと変わらない暢気な二人に青峰は肩をふるふると震わせ、若干顔を染めている。
「て、ててってめぇらがっこんな場所で何してんだああああ!!!」
そう、ここは体育館裏の水飲み場。
運動部員がいつ来るとも分からない場所でキスしていた(思い込み)二人に青峰は複雑な表情。
勿論、黄瀬も黒子もどうして青峰がそんな反応をするのか分かっていない。
「話してただけですけど………どうかしましたか?」
「顔あかっ!熱あんじゃね?」
「お前等……っ、この期に及んでっ!」
黒子は青峰の様子にもしかしたら、と不確かな疑問をぶつけた。
「別にキスしてませんけど……」
「キス?誰と誰が」
僕と黄瀬君、と指を指すと黄瀬は一瞬固まってから盛大に噴き出した。
「ぶはっ!!!お、俺と黒子っちが!?うっわぁ……、黒子っち俺とキスしたい?」
「死んでも嫌ですね。黄瀬君とするくらいなら死にます」
「でもさっき………」
「角度の問題であって実際はしてません。青峰君………その間違いは心外です」
そこまで言わなくても………、と黄瀬はまた深く沈み込むが黒子が引き上げてくれるはずがない。
二人がキスしていないことに納得した青峰は黄瀬の肩をポンポンと叩き慰めてやる。
甘やかさなくていいのに……、と呟いた黒子を見ると若干柔らかな眼で見られている気がした。
「邪魔したら悪いんで先に練習戻ります」
「え……なら俺も…」
「お前は俺に付き合え。じゃな、テツ」
黒子の気遣いで急に二人きりにされ、黄瀬はどうすればいいか分からない。
いつもはバスケをしていたから、アドバイス等で特に会話に困ることはなかったからだ。
黄瀬の沈黙に、青峰は何となく肩を抱き寄せた。
こんな風に触れあったことはなかったために黄瀬の体は硬直する。
「なぁ……、お前いっつも黒子っち、黒子っち言ってるけど好きなわけ」
「は?なんで……?」
「や、だってテツと居るときお前めちゃくちゃ楽しそうだし」
「俺、黒子っちには逆のこと言われたけど」
「なんて?」
「青峰っちの後ばっか追いかけるから、好きなんですねって」
少し、緊張した。
彼に友達としての好きと取られるのか、恋愛の形で取られるのか。
「…………」
「青峰っち?」
何か軽口でも叩かれると思っていたが予想外に青峰は照れたように返してきた。
「…………お前の好きはただの憧れ?それとも……」
「青峰君に黄瀬君!赤司君が怒ってるので早く帰ってきて下さい!」
体育館から顔を覗かせた黒子はそれだけ伝えると引っ込んだ。
どうやら長居し過ぎたようだ。青峰はだりぃ………とだけ呟いて腰を上げ、黄瀬に手を差し出す。
伸ばされた手を取り立ち上がると青峰と目がかち合い、妙な空気が流れる。
「青、みねっち」
「ん?」
「俺、青峰っちとなら……っ」
「赤司君があと二秒遅かったらペナルティ追加と言っ…………、速いですね」
黒子が赤司の伝言を伝えると二人は一瞬にしてその場から消え、赤司の所へ駆けていった。
「くっつくのは時間の問題ですか」
黒子は先を思い描いて練習に戻った。
黒子が割って入って来なかったら俺は何を言うつもりだった……?
“…………お前の好きはただの憧れ?それとも(恋愛の対象として?)”
黒子っちがもし、入って来なかったら…………俺は確実に言っていた。
“俺、青峰っちとなら……っ、(キスしてもいいよ)”
「「もし、続きを言ってたら……」」
どうなっていたんだろうか。
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今日アニメですね!!!
こんなめでたい日にこんな駄文しか書けなかったが気にしない!!
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