昼、購買までパンを買いに行った古市が教室に戻ってくると珍しく男鹿と東条が一緒に昼食を食べていた。


「珍しいっすね、東条さんが相沢さん達から離れてんの。どうかしたんすか」
「おぉ!古市、ちょうどいートコに!」
「?」
「まぁ座れ」
「は、はぁ…………」

男鹿と東条に促されて自分の席に座る。
買ったパンを開封し、口に頬張ると二人が詰め寄ってきてとんでもない質問をしてくれやがった。


「俺と東条だったらお前はどっちと付き合う?」
「………………………どっちも嫌ですけど」

古市はパンから口を離すと冷たい視線を男鹿に向けた。

確かに女好きは周知の事実である古市にする質問ではないし、質問するまでもなく帰ってくる答えは決まっているのだ。
それを考えれば古市自身どうしてそんな質問をされているのか分からない。
対して男鹿と東条は古市の回答が自分達の求めていたものではなかったのか、酷く顔をしかめている。

「古市、俺と男鹿どっちか絶対選んでくれ」
「嫌とか認めねぇぞ」
「いや、つか…………なにその質問」

「だから古市が彼氏にしたい方を選べって………」
「いやそーいうことじゃなくてですね、東条さん。男鹿も頷いてんじゃねぇ」

「「んじゃなんだよ」」

自分達の質問について何も不思議に思わないのかコイツ等は。
古市は深くため息を吐き、男相手にその質問はおかしいということと、自分は女の子が好きだということを伝えた。

「……………で、俺の言いたいことは伝わったかよ」
「「分かった。そんで古市は結局どっちを選ぶんだ?」」
「おい、てめぇ等の耳はチクワか」

なんで言ったこと全部右から左に通り抜けてんだ。


「わぁってるって。古市が女好きなんかどーだっていいんだっつの!とにかく俺と東条のどっちだったらコイビトになる!?」
「そうだ、ハッキリしてくれ古市!俺達にとっては死活問題なんだ!」
「だからなんでだあああああああああ!!つか何が原因でそんなことに!?」

「「それはコイツがっ………!!」」


……………古市が教室に帰ってくる数分前、男鹿と東条はちょっとしたことから古市を話題に話始めた。
最初は東条が古市に対しての疑問をぶつけて男鹿が答えていた。
古市のことを何でも知っているということを披露出来て男鹿も優越感は大きかった。

そしてふと東条が聞いた。


「古市って付き合ってる奴いんのか?」

もちろん男鹿は即答。

「いるわけねーだろ」

今まで古市と一緒にいたが自分と居るせいか古市はいつも良いトコロまでいっても付き合えた試しがない。
むしろ付き合えたとしても確実にぶっ壊してる。古市の隣に居るのは俺だけだ。

あわよくば古市にそーいう意味で好きになってもらいたかったが何年かけても無理。
諦めたといえば嘘になるが歳を重ねるにつれて古市の女好きは進行してきているため、もう半ば諦めていると言ってもいい。
だから自分のモノにならなくても、他人には譲れない。
そんな男鹿を知ってか知らずか、東条は極めて真剣な眼差しで訊ねた。


「んじゃーよ、俺が貰っていいか?」

「……………は?」
「別に先約があるわけじゃねんだからいいだろ」

「ダメに決まってんだろーが、ボケ」
「なんでだ」

「俺の古市だからだ」
「でも付き合ってねーじゃねぇか。なら俺のもんにしても問題ねーだろ」

「古市に手は出させねぇぞ」
「そりゃお前が決めることじゃねぇ。古市が決めることだ」

「あぁ?挑むところだコラ」


…………ということで古市に直接聞くことになった。その経緯全てを古市に言うと目が点になっていた。
そしてジワジワと顔が赤く火照りだし、明らかな動揺が顔に写し出されている。
男鹿と東条、どちらも交互に見直すとさらに赤くなった。

「そ、そ、それっ……二人って、え?すす、す、好き??お、俺をっ?あはははっ、そんなこ、と………」

男鹿が俺を好きだなんてそんなの今まで一度だって聞いたことがない。
いつも俺を面倒事に巻き込んで、でも守ってくれていたのはそういう事だったから?
だけど男鹿が俺に優しいときなんてほんの少ししかない。普通好きな奴相手はもっと労るだろ。

「い、今までそんなの一回も言わなかったじゃねぇか………」
「古市が俺のこと好きじゃねーの知ってんのになんで言えんだ」

「…それに……東条さんだって正直あんま関わったことないし………」
「あー………、なんつーかお前可愛いから。見てて愛でたくなんだ」


古市は顔がまた熱を増すのを感じた。

どうしてあんなふざけた質問からこんなことに…………っ
顔が熱い。
熱い。


「な、古市はどっちと付き合う?」


再度同じ質問をされ、古市は戸惑うが試行錯誤しながら目を瞑って男鹿をそっと指さした。
なんだかんだ色々あるが、やはり一番理解し合えるのは長年一緒に生きてきた幼馴染みなのだ。


「か、仮にだからなっ!仮にもし俺が男鹿か東条さんを絶対選ばなきゃいけない状況に置かれたとしたら、だ!勘違いすんなよ!」

お前のことは別に好きじゃないっ!そう言ってのけたのに、男鹿は喜色満面で抱き付いてきた。
東条に置いては残念そうに自分の昼食を食べ始め、助けてくれない。


「古市ー……マジ嬉しい」
「だからっ、仮にだっつの!好きじゃねぇ!」

「照れんな照れんな」
「こっの……!早く離れろ!」

「でも顔赤ぇぞ」
「うっせぇバカ!!」


やっぱ前言撤回!
仮にでもこんな奴と付き合うなんてごめんだ!!!!

――――――――――――――――――――――――――――――――――

このあと男鹿ちゃんを意識しまくって古市自らドツボにはまっていくパターンですね。
あっはっはっは楽しいw

東条さんはいつまでたっても報われないのが愛しいです。
東条さんは静香様とお付き合いすればいいよ、うん。個人的に美味しいです。
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