「ふ、古市…………っ」
「ふぉ?」

凄い形相で男鹿が眼をこれまでにないくらいカッ開いている。
一体何があったっていうんだ。

「てめっ!なんつーもん食ってんだ!!!」
「何って…………恵方巻きだけど」

くわえていた恵方巻きを口から離し、男鹿を見上げると何故かどこか気まずそうに変に顔を背けられる。
視界の端に入る他の男子達も若干顔を赤く染めながら背けている。
古市は頭上に?を浮かべた。

「今日節分だよな?」
もしかして勘違いしてしまっていたのかと思い、携帯のカレンダーを確認してみるが日付は2月3日。
間違っていたわけではないようだ。
もし間違っていたら昼食にと恵方巻きを渡してくれた母を恨むところだった。

「で、恵方巻きがなに」
「いや…………別に」
「は?なら意味の分からんリアクションとんな。俺が返しにきーだろ」
「……………」

あああああああもうニブ市!!!なんで気付かねぇんだ!!!!


「……ん、…ふ…………ぅ」

「「「「「「「…………………」」」」」」」

お前の食い方超エロいんだよ!!!!


教室にいる男子の心の声が一つになった瞬間だ。
口いっぱいに太い恵方巻きをくわえる古市は大きさがギリギリなのか、苦しそうな声が漏れる。
それを生唾を飲み込んで身を乗り出すように視界に収める男子連中に男鹿のこめかみが浮き上がる。
射るような目付きで睨みを効かせればすぐに視線は反らされた。


「は、ふ…………ぅ、ん」

はぐはぐと夢中でエロく食べ進める古市を誰にも見せたくない。
だが無自覚が故にそれを伝えたとしても流されるのがオチ。
確か恵方巻きは止まらずに一本丸々食べ終えれば福が来る的なやつだった。
邪魔すれば古市に怒られる。
男鹿が見守る中、古市は半分食べ進めたところで恵方巻きを自分から一度口から離した。


「これ……すっごいおっきくて………、長すぎ、だ………っ。全部飲み込むとかムリっ」

「……………っ」
ナニが!?ナニを!!??

「古市バカッ!!お前は一生恵方巻き食うな!!!」
「はっ?えっ?」
訳が分からないでいる古市から食べ掛けの恵方巻きを取り上げ、男鹿が数口で食べ終えてしまった。

「ああぁぁ!!まだ半分しか食べてないのに!!」
「知らん!俺のコロッケパンやるからそれで我慢しろ!!」
「はぁ!?恵方巻きのがいいに決まってんだろ!!」

さっきの色気はどこに消えたのか、古市は男鹿と言い合いを始める。
どうやら母親の手作りだったらしく、余程全部食べたかったのだろう。
男鹿自身、店で売っているものより何倍も旨いと思った。

「だいたい学校に恵方巻きなんか持ってくんじゃねぇ!!」
「意味分からん死ね!恵方巻きの何がダメなんだボケ!」
「食い方の問題だっつの!!テメェの食い方はエロすぎんだ!!」
「え、えろっ…………!?」

男鹿の主張に顔をひきつらせた古市はその恵方巻き=エロの意味をたった今理解した。
そして思い切り男鹿の頭を鞄で殴り付ける。

「お前何想像してんだ!!変態!!」
「いやどう考えてもそう思わせるような食い方するほうが悪ぃだろが!!」
「ば、ばばばかっ!誰もそんな風に食ってねぇ!!」

男鹿の中で、顔を真っ赤に訴えてくる古市と、一生懸命くわえる古市とが勝手に重ねられた。
顔を赤くして恥ずかしがりながらも両手を控えめに添え、口いっぱいにくわえる古市。
想像しただけで下半身がズクン、と疼いた。今すぐ古市を連れて帰って組み敷きたい。


「ふるい「お前ら何騒いでんだ?」
「東条さんっ」

「チッ」

東条相手には素直になる古市が気に入らない。
そりゃ、東条は俺より優しいかもしんねーし、喧嘩も強ぇ。
だからってコイビト差し置いてそんなキラッキラな顔向けていいと思ってんのか。
男鹿が古市を連れ出そうと手を伸ばしかけた、が。


「男鹿に恵方巻き食われちまったのか、しゃーねぇな。


じゃあ俺の恵方巻き食うか?」


「えっ、いいんですか?」

「!!!!????」


東条は古市相手にデレデレと頬を緩ませ、自家製だぞ、と言っている。
古市も古市で東条に甘えるような声を出している。
そんな状況を男鹿が耐えれるはずがない。


「古市ぃ!!お前は俺の恵方巻きだけ食っときゃいいんだよ!!そいつだってお前のことエロい目でしか見てねんだぞ!!」
「まだんなこと言ってんのか!!東条さんはお前とは違って、恵方巻きをそんなふしだらな意味で使ったりしねんだよ!!」
「なんだ、そっちの恵方巻きが食いてぇなら別にそっちでも大歓迎なんだけどな、俺は」

純粋だと言ってもやはり盛りの高校生。
その意味が分からないほど完璧な白というわけではない。
そんな東条に古市がショックを受けていると、男鹿は悪魔の笑みを浮かべて古市を姫抱きにする。

「ばっ、バカッ!!何処連れてく気だ!!」
「二人っきりになれるとこ?お前がエロいせいで下半身がちょっとな」
「やっ、だ!!離せっ離せええええええ!!!!!」


男鹿の腕の中で悲痛な叫びを上げる古市に皆、御愁傷様と頭の中で手を合わせた。

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節分=恵方巻き
に気付いたのが昨日の晩だったので間に合いませんでした・・・・・;
だがしかし恵方巻きネタめっちゃ楽しかったですwww
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