朝比奈が足りない。



最近忙しすぎてろくに触れてない。
もう嫌だ。早く触りたい。

俺に触って欲しい。



「朝比奈……………」

俺は事務室でそのまま眠ってしまった。









「……………ん」


目を醒ますと朝比奈の仕事姿が目に入ってきて、真剣な仕事顔にうっかりときめいた。
机に伏せたまま朝比奈をしばらく見ていたら気付かれた。


「おはようございます」
「おー…………あのさ、何で寝てんの起こさなかったんだ?」


寝たといっても一時間弱くらいだが。
いつもなら仕事中に寝ようものなら容赦なく叩き起こされる。
それが今日は何故かそっとしてくれついたみたいだ。 朝比奈の考えはよく分からないときがある。



「昨日は深夜まで会議でしたのに、今日は早朝会議があったので寝ていないのではと」
「一回寝たら早朝起きれねーからな」

「体を壊されては元も子もありません」



朝比奈は作業を進める手を止めて井坂の傍まで寄った。 軽く髪の毛を長い指で鋤く。
井坂はその手が心地いいのか頭を手に擦り付けてもっとと言っているようだ。

正直三十路越えたおっさんがこんなことしてもキモいだけだと思う。
でも朝比奈にとってその行為は愛しくて仕方がなくて。 そんな、自分を好きな朝比奈が俺も好きでしょうがない。


最近抱き合うどころかキスだってしてない。
だからどうしても我慢が出来なかった。




「朝比奈…………」

「龍一郎様?」



井坂は椅子からゆっくりと立ち上がり朝比奈の目の前に立って整った顔に手を伸ばす。

両手で包めばこれから何をするのか、恋人同士なら嫌でも分かる。
目を瞑って顔をだんだんと近付けていき、あと少し……―――――――




「………………朝比奈、何のつもりだ」


朝比奈に手でガードされ、井坂は朝比奈の手の平にキスする形になる。


「オフィスですから」

「誰も見てねーだろ」
「それでもです。さぁ、寝てた分まで働いて下さい」

「だりぃー…………」


井坂はまたしても机に突っ伏して寝る体勢を取る。
眠くて仕方がないのだが朝比奈は井坂を揺さぶり起こす。


「後二時間ほどで会議が始まりますから」
「じゃそれまで徘徊すっかな」
「仕事してください」

「見回りだ、見回り。社内の見回りも仕事のうち!」
「全く、貴方という人は………」



呆れて溜め息をつく朝比奈をネクタイを引っ張って引き寄せた。
もちろんキスするために。
不意打ちならどうだと思ったのだが…………



「オイコラ。何ガードしてんだよ」

またしても手で防がれてしまった。
朝比奈からは「会社ですから」の一言。


「……………あっそ」




朝比奈を置いて部屋を出て会社の中を歩いているとたまたまジャプン編集部に行き着いた。
聞こえてきたのは人気漫画家伊集院先生の嘆き声。

一体どうしたものかと編集部に顔を出したら見事に引きずりこまれてしまった。



「つまり、自分の作品に自信がない、どうせ上辺だけのファンしかいないからもう止めたいと?」
「はい……さっきからずっとこうでっ」


井坂も伊集院が叫ぶ声を必死に宥めようと試みるがムリだ。
一度ヒスを起こした作家を落ち着かせるのは至難の技だし、伊集院は普段ヒスを起こさない。
だからこそ対処の仕方がいまいち分からない。


「……………どうすりゃいいんだ?」




悩んでいたその時、高橋美咲ことチビたんの声がした。
俺はチビたんを巻き込んで、チビたんの『ザ☆漢 愛魂(ラブパワー)』で伊集院先生は復活した。

が、その復活させるために言った言葉がいけなかった。


『先生のこと大好きです!!』


これを宇佐見秋彦が聞いていたのだ。 あの二人が付き合ってることは知っている。
だから心の中で心底ちびたんに同情してやった。
あとで秋彦になんてお仕置きされんだろうなぁって。



「ちょっ………ウサギさん!」


ちびたんが連行されていく様を相川と一緒に最初は見守っていたのだが、あの二人がどこかの部屋に入るのが見えた。
つまり、あの秋彦は今すぐにでもちびたんに何かしようとしているってことだ。
ちびたんはどうせ強気で来られたら完璧に拒めない。

イコール――――あいつらは会社内でラブるわけで。



「…………それをこの俺を許すとでも?」



朝比奈に会社だからって拒まれた俺を差し置いてあいつらはイチャイチャ?

ふ・ざ・け・ん・な!!!!!




「オフィスラブもどきは却下ー」


奴等が入った部屋のドアを全開の笑顔で勢いよく開け放った。


「いっ、井坂さん!?」
「………………」


案の定二人はキス寸前、秋彦に思いっきり睨まれたが無視だ。



その後はまぁ色々あってようやく会社を出ることが出来た。





「……………はぁ」



結局朝比奈とは何も出来なかったし、俺の仕事部屋に行ったらいるかと思ったら居なかった。
多分もう帰ったのだろう。



「何溜め息なんてついているんですか」
「あ、朝比奈!帰ってたんじゃなかったのか…………」

「ええ………会社から出ていくところが見えましたので追いかけてきました」
「ふーん………」



もう夜も遅く、朝比奈を見るこの顔が赤くなっていることは気付かれていないと思う。
三十路にもなってなにやってるんだか、と自分が恥ずかしい。


「なぁ朝比奈…………」


何か喋ろうと自分より高い位置にある方に顔を上げると、朝比奈の顔が焦点が合わないほど近くにある。
井坂はキスされていると分かり、取り合えず朝比奈にされるがまま。


「…っん………ふ、んぅ」


軽く舌と舌を重ねられて心臓が熱くなる。いつもはもっと熱くて甘いキスをしているはずなのに。
暫くしてないせいで、たったこれだけのことで体が疼いてたまらない。



「龍一郎様、帰りましょう」

「何で今キス………?」


さっきは嫌がってたくせに。
朝比奈は井坂に、瞳を緩めて優しく言った。



「会社ではないので」



「………………そう、だな」


ヤバイ、今すぐコイツが欲しい。人気がないといっても公道。
キス以上は許されない。

井坂は朝比奈の腕を掴んで言った。



「欲しい」



「………え?」


朝比奈が立ち止まったため、今度は目を見て強く口に出した。
今思った素直な気持ちを言葉に込めて。



「早く、お前に触って欲しい」


「龍一郎、さま…………」



完璧な誘い文句。
朝比奈は井坂を抱きしめてキスしたい衝動に駆られたが、理性で堪える。


「分かりました、私の車に乗って下さい。家まで我慢出来ますか?」
「それぐれぇ出来るわ、アホ」

「承知しました」








家に帰ってすぐ、雪崩れ込むように二人でベッドの上に倒れた。



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書き立てほやほやw

ミステイクまじはまるwもっと増えろおおおおおおおおおおお

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