※古市パニック直後
※捏造あり





俺は男鹿以外本当はどうでも良かった。
どんなに蔑まれても男鹿の隣に居られるならそれで良かった。
けど、男鹿の隣が最近遠い。どんなに近付こうとしても突き飛ばされてしまう。
男鹿のことを何も知らないくせに。俺より何も知らないくせに隣を奪っていった他人に腹が立った。
男鹿と俺のことを何も知らない。そんな他人に蔑まれるのは許せなかった。
強いってだけで男鹿の側にいる他人に。男鹿は強い奴が好き。
だから

「死んでもいいから強くなりたかった」

男鹿と対等に戦えればお前は俺をまたその眼に映すだろ?
男鹿に好かれたいとかそんなもんはない。
お前に好かれるよりどうせなら女の子に好かれたいに決まってる。

「俺はただ………お前の眼に映りたかった」

俺を見て欲しかった。
最後に一緒に登校したのはいつだ?最後に一緒に帰ったのは?
お前は他人と関わりを持って何度俺を頼ってくれた?
俺とお前だけの秘密を共有しなくなったのはいつから?

「いつから………お前の一番は俺じゃなくなった………?」

魔力に耐えきれずボロボロになった体はベッドに体を預けているが痛みが治まることはない。
無理に起こされている上半身も悲鳴を上げている。古市にとってはそれさえもどうでもいい。
それよりも、何よりも、心が………自ら流す涙が痛くて痛くて悲鳴を上げている。
今まで溜めていたものが止めどなく溢れていく。

「…………ずっと……怖かった………っ」
「………………ごめん」

古市の身体に痛みが走らないように壊れ物のようにそっと、ゆっくりと優しく包むように抱き締めた。
こいつ、こんなに細かったか?
いつもなら直ぐに気付く古市の体調の変化にどうして気付けなかった?
いつから俺は古市を解ってやれてなかった?
どうして古市が離れていかないと思ってた?

「悪ぃ………気付いてやれなくて、………守ってやれなくて」

男鹿は悪くない、そう言いたいのに声は全て涙に呑み込まれてしまってしゃくり声しか上げられない。
勝手に溜め込んで勝手に暴走した俺が悪い。
それでも、悪いと思っていても………今でも男鹿に勝ちたいと思う俺を、愚かだと言うだろうか。
俺は他の誰でもない、男鹿に認めて欲しいから。古市の涙が男鹿の肩に染みを広げていく。

「お前が諦めねぇから、俺は………」
「…お、が…………?」

ぼろぼろと涙を溢す瞳を拭って頬を掌で包んだ。
俺と出会うまでに出来たモノ全部棄てて俺の隣に立つことを選んだお前だったから。
そうだ、どんなに不利でもどんな状況でもどんな相手でも、例え誰も近付いてこれなかった俺であっても、諦めないお前だったから。

「そんなお前だから、好きになったんだ」

至近距離で今までになく真剣な顔でそう告げられるが古市は驚嘆で言葉が出ない。
止まらない涙のせいでうまく思考が回らない。好き、なんて簡単に言うなよ。
俺の気持ちなんか全然知らないくせに。

「……………好きって、なんだよ…………」
「分かんねーよ、俺だって。」
「分かんねぇくせに言うなよ………」
「それでも、好きだ」
「黙れ……黙れよ。そんなこと簡単に言ってんじゃねぇよ……」

好きなんて言うな。
お前には傍で一緒に戦える人が似合ってるから、だから俺にそんな感情持つな。
俺は汚いし性格も悪い。今回の騒動で確信したんだ。

「俺は………嫌いだ」

俺のことも、こんな俺を好きだなんて言うお前も大嫌いだ。
男鹿の傍に居ても傷つくばかりで、自分は好きな時に離れていくくせに俺が離れていくのは許さない、そんな傲慢なお前なんかどっか行っちまえばいい。
お前から離れて知らない場所に行って、新しく出逢った誰かと一緒になってお前を見返してやる。
そんな下らないことを考えたこともあった。いや、今も心の何処かで考えることがある。
お前はいつだって俺を巻き込んで助けろと呼ぶけど、実際俺が居なくなっても困ることも駄目になることもないだろ?
だったらもう構うな。無神経に近付いてこないでくれ。

そう思うのに、駄目なんだ俺は………

本当は違った。男鹿が俺が居なくて駄目になるじゃない。
俺から離れていくお前を、俺を離さないお前を、嫌いなんじゃない。


「お前が居ないと駄目になる俺が………一番嫌いなんだ」
「古市」
「……何………っ……」

男鹿は古市の手首を掴んで軽く持ち上げ、薄い手の平に唇を押し付けた。
僅かにある生温い感触に古市は身を引くが男鹿は逃がさない。
唇を割って舌先が手の平を舐め、少し汗ばんだしょっぱい味が舌先に広がる。
吸いつくように口付けられる度、手が震えて力が入らない。
嫌じゃないから拒めない。

「………っ……」

漸く手から顔を離した男鹿は古市の手を握りしめて言った。

「俺は古市がいねぇと困る。他なんか要らねぇ、古市だけでいい。お前じゃねぇと…………だから、俺の傍にいろ、離れんな」

一瞬たりとも離れさせない、そう言われているように思える程強い想いを宿した眼に拒否出来ない。
いや、本当は嬉しいんだ。こんな風に求められて嫌な訳がない。
心臓がジクジクと甘く傷み、鼓動が急速に速まりだして死んでしまう程に血が熱い。

「古市、好きだ」

もう一度確かに告げられたその言葉は古市の沈んだ心を引き上げるのに十分な力を持っていた。
『好き』、心臓に響いてきたそれは熱を持って古市を浸食し、包みこむ。
男鹿がどんな想いでそれを言ったのか、理解すると同時に顔がぶわっと熱を帯び始めた。

「……お前………っ…ほんと、馬鹿だ…」
「お前がな。ごちゃごちゃ下んねーこと考えてねぇで…………、っ」

触れ合った唇の間に言葉が消失した。
眉を八の字に曲げて困ったような嬉しいような顔で笑った古市に男鹿も似たような顔で笑い、抱き締めた。
身体は痛くて堪らないが今この瞬間だけは全器官がふわふわと浮いてるような感覚になり、幸せな気がする。
俺を抱き締めるこの身体全てが愛しい。こんな俺を必要としてくれる男鹿だから好きなんだ。
男鹿も俺も離れることが出来ない、互いに求め合う心地好さを知ってしまった。
俺はもうずっと前から男鹿だけ。男鹿は周りに人が増えて尚、俺を好きだと言ってくれた。
その事実に甘く痺れるこの感情は一つ。



俺は確かに、男鹿に恋をしたんだ。







「………俺も好きだ」


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お、お久しぶりです!!!!
ピクシブの方には投稿してたのですがサイト放置してしまってすみません!
パスワードが分からないまま放置してましたが、この間パソコン周り掃除して
たらパスのメモ帳発見致しました!!!

おがふる万歳です!!!
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