俺は今日も男鹿関係で不良に絡まれて、男鹿に助けられる。
普通はイヤになって男鹿から離れるんだろうけど…………
俺は男鹿から離れない。
いや、離れたくないんだ。
「古市、大丈夫か?」
「……………」
こいつは俺の気持ちを知らない。
どれだけ俺が男鹿に溺れてるか、それは俺しか知らない秘密。
「痛いのか?なんかされた?」
男鹿が心配そうに古市に聞く。
『心配』の言葉がこれほど似合わない男は他にいないだろう。
「なんでそんなこと聞くんだよ。いつもは聞かないくせに」
男鹿は古市の言葉に戸惑う。
「お前………泣きそうだから」
「!」
その言葉に驚いて思わず男鹿の顔を凝視してしまった。
だめだ。
いつも隠してきたのに。
「古市?お、おい」
瞳に涙が溜まるのが分かる。
「ごめ、ん………なんか気が揺るんじまってさ」
グイッと服の袖で目を擦る。
「俺、何かしたか?」
「………気が揺るんだだけだっつの」
「それだけでお前が泣くわけねーだろ」
頬に男鹿の大きな手が伸びる。
触るな。
だめだ………触れたら余計に…
「やめ、ろ。そんなキャラじゃねぇだろ」
「知るか、触りたくなったから触ってんだ」
耐えていたのに、また涙が溜まっていく。
「なんで泣くんだよ」
優しい声で喋んな。
お前にそんな風にされたら……
「お前が……っ、あんなこと言うからっ」
男鹿が古市に言ったこと。
古市に絡んでた不良たちを見事撃退したあと…………
『俺の傍から離れんな。お前に何かあったら、俺生きていけねぇから』
普通、自分が心底惚れてる奴にそんなこと言われて何とも思わないやつはいない。
俺だって例外じゃない。
嬉しさ半分、切なさ半分。
男鹿が深い意味を持たずにそう言ってることを知ってるから。
こいつは天然で、無自覚にそういうことを言う。
女王だってそれのせいで男鹿に惚れた。
でも嬉しさは消せない。
「なんでもない、忘れろ」
「お前がいねーと生きていけねぇのは、本当のことなんだからしょうがねぇだろ」
言うなって言ってんのに………
もうイヤだ。
なんでこんな苦しいんだ。
「男鹿の……せいだ」
「は?」
男鹿はいきなり睨んできた古市にたじろぐ。
しかも胸ぐらに掴みかかってきた。
「ちょっ、古市!?」
「てめぇがっ………!」
あぁ、今零れた。
透明な雫が頬を流れていく。
男鹿は初めて古市が泣く姿を見て驚いた。
強がりで男鹿にだけは絶対に見せなかった顔を見せた。
「男鹿が俺をこんなにしたからっ」
「…………」
男鹿は黙って聞いた。
そして不謹慎にも古市の泣き顔を可愛いと思った。
「お前が俺を惚れさせなきゃ……こんな気持ちになんなくてすんだのに……………」
男鹿の胸元に顔を押し付けて泣く姿は本当に弱々しい。
「男鹿なんかキライ………になりたい」
「お前が嫌っても俺は……」
古市が好きなのか?
「男鹿が好きなんだ、キライになれるわけないだろ………」
「古市が俺を………?」
「さっきから惚れてるって言ってるだろ」
「俺は…………」
古市の肩を掴んで自分の体から離した。
「………他の奴に触られんのはイヤだ」
「俺が好きってこと?」
「多分………」
「俺は男鹿が好きだ。ずっと好きだった」
「でもお前女好きじゃねぇか」
「女の子は別。俺だって男だし」
「じゃ…………付き合うか」
「えっ……」
いやいや!
こんな簡単にことが運んでいいのか!?
俺の長年の切ない片想いがこんな簡単に実っていいわけ?
「イヤなのかよ」
「いやじゃないけど………」
「じゃ何。はっきりしろよ」
「お前が俺のこと本当に好きかまだ分かんないし……、後からやっぱナシとか言われたらどうしようとか」
「………」
なんだ?
俺がいいっつってんだからそれでいいだろうが。
多分好きだし。たまに可愛いと思うし。
あー!!もう面倒くせぇ!
「古市!」
「なっな、に」
口を塞がれた。
言葉が出ないどころか酸素さえも吸えない。
「ふっ……………ん」
「古市……………」
啄むことを繰り返して離した。
見れば、顔を赤くさせてこっちを見ている古市がいた。
正直、こういう顔した古市は可愛い。
このまま俺のもんにしたいと思わされる。
「これでも信じねーのか」
「……いや、嬉しいし。……信じるけど……」
「なんか実感が湧かないっていうか………夢なんじゃないかって」
「夢じゃねーよ」
「………なら、もっかいキスしたい」
「いくらでもしてやるよ」
俺達はそのあとずっと現実を確認し合った。
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男鹿古でシリアスむずいなあ・・・・・・・・・・・
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