「……………はぁ」
溜め息を漏らす。
俺が青峰っちに告白してアタックし始めてもう1ヶ月になる。
どんなに頑張ってアピールしても振り向いてくれる気配なんて微塵もない。
「1on1の相手はしてくれるんスけどね…………」
「それは残念ですね」
「そうなんスよ………っ!?て黒子っち!?いつの間にっ?」
隣に一緒になって座っている黒子に驚く。
「さっきから居ました」
「ウソ!つか人の心の中勝手に読まないで欲しいっス!」
「全部口から漏れてましたよ」
しれっと言われた。
「うっ、じゃあ相談くらい乗って欲しいっス!」
子犬のような眼ですがられる。
といっても、自分よりも遥かにデカイ男にそんなことをされても………、ていう感じだ。
「……………いいですけど」
「ホントっスか!?」
眼をキラキラと煌めかせる。
本当、犬みたいですね。
尻尾が見えます。
「じ、実はっ、青峰っちに何度アタックしても全く効果ナシというか……………!」
そのアタックの内容を聞くと、
毎日1on1に誘うのはもちろん、毎朝家まで迎えに行き、登下校を共にし、休み時間までしつこく追い回すというものだ。
昼食も半ば無理矢理一緒に食べているらしい。
それプラス毎日愛の告白をしているとか。
「ど、どうっスか!?」
「………むしろ逆効果なような気が」
「ぅえぇっ!?マジっすか!?」
「………………」
あぁ、馬鹿なんですね。
と可哀想な眼で黄瀬を見る。
何故こんな人が女の子たちにモテるのだろうか。
一体彼女たちは彼の何処を見て、格好良いと思っているのだろう。
「青峰君には……ウザいとか言われませんでしたか?」
「毎日言われてるっス!」
そのくせに何でここまで元気なんだ、というのは彼自身がポジティブに生きているからでしょうが。
「押して駄目なら引いてみては?」
恋愛の駆け引きの中で最も使われる手だ。
相手の気を引くには正直これが一番簡単で一番有効だ。
「一応それも考えたんスけど………」
「けど?」
「なんか青峰っちって去る者追わずって感じじゃん?だから失敗する気がするっス」
「確かにそうですね………」
ぼーっと何の案も出ないまま時間が過ぎていく。
「……………!」
ふと、視界の隅に見慣れた影が入った。
「黄瀬君、」
「何スか?」
「僕はこれで失礼します」
その場に立ち上がる。
「え!もう行っちゃうんスか!?」
「あれ」
黒子が指を示した先を見ると青峰がいた。
あっちは自分たちに気づいていないようだ。
「頑張って下さい」
「あ、ありがとっ黒子っち!」
黄瀬は青峰目掛けて走り出した。
「……………」
あの青峰にあそこまで粘っているのは黄瀬がもしかしたら初めてなのではないか。
そう思った。
青峰は告白されても、振るときはキッパリはっきりと相手も諦めて去っていくようなことを言って追い返す。
特にしつこいタイプは嫌いでその場合は完璧に突き放す。
その彼を相手に粘っているのだ。
「いや………、どちらかというと青峰君は本気で黄瀬君を突き放そうとしていない・・・・・・」
むしろ………、試してる?
「お前の言う通りなのだよ」
「………緑間君」
後ろを振り向くといつから聞いていたのか、チームメイトが立っていた。
「黄瀬は振り向いてくれない、と言っていたが………実際は違う」
「…………最初から好きだった」
ということですか?
黒子の言葉に頷く。
「簡単にOKするのはつまらないとか、そういう理由なのだよ。アイツは幼稚なのだ」
「青峰君って…………、」
「ん?」
「好きな子ほど苛めたいってタイプですよね」
「今更なのだよ」
そう思うと可愛いく思えてしまうから不思議だ。
「青峰っち!」
「あん?黄瀬か」
こちらを振り返る。
追いかけてきたものの、何を言えばいいか分からず口ごもる。
「何だよ、用がねぇんなら行くぞ」
「いや、えぇーっと………!」
「はっきりしろ」
「あ、青峰っちは俺のこと迷惑って思ってるっスか!?」
「はぁ?」
突然口から出てきた言葉。
自分が何故こんなことを聞いてしまったのか分からない。
でも、言ってしまったものはしょうがない。
「だって、いっつも俺のことウザいとか言うし!望みないなら俺、諦めるし!」
なんて。
絶対諦める気なんてないけど。
「…………馬鹿だろ」
「ぅえ?」
思いっきり馬鹿にしたような眼で見てくる。
いや、馬鹿にしたようなじゃなくて、馬鹿にしてるんだけど。
「馬鹿だ馬鹿だと思ってたが………、ここまでとはな」
「それ……どういう意味……っ!」
視界が青峰で埋まる。
近すぎて焦点が合わない。
「…………え、何……今の?てっ!う、わ!?」
青峰に胸ぐらを捕まれ、また顔が近くなる。
「お前さ、」
「ここで諦めんの?」
スポンサードリンク